ストラット式サスペンションは、正式にはマクファーソン・ストラット式といい、世界的には1940年代後半から採用されてきた形式だ。基本的にロアアームとストラット(支柱:ショックアブソーバーとスプリングを一体化している)からなるシンプルな独立式サスペンションとなる。ここではその構造を解説していこう。

ストラット式はロアアームとショックとスプリングのみの独立懸架

長い歴史を持ちながら、現在まで採用されている独立式サスペンションの代表がストラット式サスペンションだ。このサスペンション形式を簡単に言うとロアアームとストラットで構成されており、部品点数の少ないシンプルさを特徴とする構造である。ちなみに国産乗用車で最初に採用されたのが1966年の初代カローラとなる。

画像: ロアアーム、ハブナックルを介して、ショックアブソーバーとスプリングを一体化したサスペンションというのがストラット式の主な構成となる。

ロアアーム、ハブナックルを介して、ショックアブソーバーとスプリングを一体化したサスペンションというのがストラット式の主な構成となる。

「ストラット」という単語は「支柱」の意味を持ち、ショックアブソーバーを内蔵して、その外側にスプリングを装着した構成となるサスペンションユニットのこと。このストラットのアッパーはタイヤハウスに直接つながり、ストラットを固定する。

もうひとつの代表的なサスペンション形式で、長さのあるアッパーアームを装着するダブルウイッシュボーン式と異なり、ストラット式は部品点数も少なくしかも省スペース構造。そのため、エンジンをフロントに横置きして前輪を駆動するようなFF車のフロントサスペンションによく採用されている。

はじめて国産車に搭載された1960年代以降の昭和に普及しはじめ、平成、令和と現在でもサスペンション形式の主役を張っている状態だ。

ストラット式サスペンションの構造(フロント)

画像: 「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

画像: 初代日産チェリー(1970年)のエンジンルーム。エンジンを横置きしているため幅が必要だが、ストラット式なら余裕で搭載できる。

初代日産チェリー(1970年)のエンジンルーム。エンジンを横置きしているため幅が必要だが、ストラット式なら余裕で搭載できる。

独立サスペンションを少ない部品で成り立たせられるストラット式サスペンションは、コストを低く抑えられるところもメリットだ。その反面デメリットもあるのだが、これは大きく分けてふたつ。

コーナリングするような時に横からの力をサスペンションに受けたとき、ショックアブソーバーのスムーズな動きを妨げてしまうこと。これは力を受けるストラット(支柱)がショックアブソーバーを内蔵しているためだ。また、バンプやリバンプともに大きくストロークしたとき、アライメントがネガティブ方向に向くこともある。

画像: ストラット式では、大きくロールしたときにタイヤにネガティブキャンバーが付く方向となる。レーシングカーなどでは、イニシャルでネガティブキャンバーをつけるなどで対処する。

ストラット式では、大きくロールしたときにタイヤにネガティブキャンバーが付く方向となる。レーシングカーなどでは、イニシャルでネガティブキャンバーをつけるなどで対処する。

前者への対策としては、スプリングをストラットの中心からずらして装着するオフセットスプリングで対処できる。また後者に対しては、あらかじめ若干のネガティブキャンバーとしたり、ロアアームを水平より下げておくことにより、バンプ時にロアアームが水平になるまでネガティブ方向に動くようにするなどの手段を取っている。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)

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