経年変化によるボディのヤレが発生したNAロードスターに効果絶大
「この手があったか」という独自の視点で、オリジナルパーツの開発やサービスを行っているロードスターのプロショップ「ニーレックス」。「ロードスターBROS. Vol.20」の取材で訪れた時に、クラッシュパッドメンバーを補強したNAロードスターに試乗したところ、あまりのシャキッとぶりに驚愕してしまった。
クラッシュパッドメンバーとはなんぞや? と思うのも当然だろう。聴き慣れないこのパーツ、実は運転席のすぐ近くにある。これはダッシュボードを固定するためのフレームで、ステアリングコラムを保持する役目も果たすパイプ形状のパーツだ。
つまりこれを脱着するには、ダッシュボードを外す必要があるのだ。わざわざダッシュボードを外さなくても車体の下回りやエンジンルームに取り付ける補強パーツは多々ある。しかし、登場から30年以上が経過したNAロードスターにとってダッシュボードの交換はかなりメジャーな作業なのだ。なぜなら新品の純正ダッシュボードが今でも手に入るからだ。
つまり経年変化で痛んだダッシュボードを新品に交換するとき、補強したクラッシュパッドメンバーに一緒に交換してしまおう! ということだ。
回頭性が向上し、思ったとおりラインをトレースする!
NAロードスターのクラッシュパッドメンバーは縦に横に曲がりくねった形状をしており、強度が高いとは言えないのだ。そこでスチール角断面パイプを使用してガゼットを製作し、これを純正クラッシュパッドメンバーの曲げ応力のかかる11カ所に溶接、強度を大幅に高めているのだ。
経年変化によるボディのヤレやAピラーのガタツキ、ハンドリングの剛性不足などの症状が出ているNAロードスターに装着すると、この補強の効果をはっきりと体感できるというのだ。
実際に走ってみると、ステアリングホイールを切るとノーズがスーッとコーナー内側へ入っていき、そのままスムーズにコーナーを抜けていく。思ったとおりのラインをトレースしてくれるので、コーナーが待ち遠しくなるほど楽しくなる。
この車両には、ニーレックスの人気パーツ「ナックルサポート」が未装着というから、これをセットアップしたら「さらにキビキビ走るんだろうな」とニヤニヤしながら走っていた。
30年になろうかという個体も多いなか、こうした補強をすることで、さらなる長寿命化を実現することができる。あの手この手を駆使して、歴代ロードスターを長く楽しむノウハウを持つニーレックスならではの手法と言える。