ダッジ ナイトロ(2011年)
以前に、フォード(リンカーン)、GM(シボレー&キャデラック)とアメリカンSUVを試乗してきたが、今回はビッグ3(もはや死語か)の残り1社、クライスラー グループのSUV2台を短時間だが試乗できた。まずは、ダッジ ナイトロから。
ダイムラー・クライスラー日本(当時)が満を持して「ダッジ」ブランドを日本に導入して展開を始めたのが2007年。だが、クライスラーの経営不振などの影響もあり、間もなくダイムラーとクライスラーは袂を分かち、現在(編集部註:2011年)日本に導入されているダッジ車は、このナイトロ1車種だけになってしまった。
とはいえ、この独特の存在感は他車の追随を許さないナイトロの特権といえるだろう。3.7LのV6エンジンを納めるフラットなボンネットフードに、おとな5人がゆったりと過ごせるボクシーなキャビン。同じクライスラー グループのジープ ラングラーをも彷彿とさせるスタイリングだ。それでも、クロームパーツを効果的に配して、ダッジらしさを押し出している。
ドアを開けて運転席に乗り込もうとすると、ステップはけっこう狭く、またグリップもない。大柄なアメリカ人には問題ないのだろうが、女性や小柄な人では飛び乗る感覚になる。それでも、後席は頭上も足元も広々としており、幅広のステップがあるから乗降もスムーズだ。
4WDはパートタイム式で、悪路というよりは「悪天候型」といったセッティングにとどまる。すなわち、FRベースのジープ チェロキーとプラットフォームを共有するため、オンロードとのバランスの良さが持ち味といえそうだ。
けっこう勾配のきついワインディングロードを走ってみたが、アイポイントが高いのに、そのロール感覚はまるでハイパフォーマンスカーのようだ。つまり、シャープでフラット。その割りにはステアリングのフィールは大らかで、ボワンと揺れながらも的確にトレースしていく。
これは驚くほどの新感覚だ。ナイトロは見た目だけでなく、走ってもかなり面白い。しかも、300万円を切るという車両価格だから、お買い得感も強いといえるだろう。