軽量アルミホイールは走行性能と直結している。
ホイールの重さは走行性能に影響する。ここはいわゆるバネ下重量になるからだ。サスペンション形式の如何によらず、スプリングとショックアブソーバーはホイールとタイヤの上下動を制御する。同じスプリングレートであれば、軽いホイールの方が路面への追従性がよくなり、ショックアブソーバーへの負担も少ないということになる。もう少し詳しく説明していこう。
重いホイールにタイヤが組み合わされた場合、路面から大きな入力を受け止めると、スプリングが急激に縮むとともに、さらになかなか伸びようとしない。そこからようやく伸び始めると、ショックアブソーバーの伸び側の減衰力にもよるが、今度は弾かれるように伸び、振動の収まりも悪くなる。
逆に同じタイヤでもホイールが軽ければ、スプリングもショックアブソーバーも適度な入力となりしなやかに動く。こういう面で、走行性能に特化したサーキット走行などでコーナリング性能をあげようとすれば軽いホイールでロードホールディングを上げることが求められる。
さらにこれは足回りの性能だけにとどまらない。同じエンジンの力で重いホイールを回転させるのと、軽いホイールを回転させるのでは、当然後者の方がロスが少ない。もちろんブレーキングでも同様で、回転している重いものを止めるのと、回転している軽いものを止めるのとでは、後者の方が小さい力で済む。結果ブレーキの負担も減るわけだ。
クルマをトータルでみたときも、当然車両重量は軽くなる。普段の走行でなかなか体感できない面もあるが、ホイールを含めた足まわりを軽くすることは、他の部分でクルマを軽くするよりも大きなメリットがあるわけだ。
ホイールが軽ければ多くのメリットを得られる一方、強度の問題もあるので、おのずから限界はある。さらにアルミホイールにしたからといって、足まわりが軽くなるとも言い切れない。見た目重視のものもあるからだ。これは重くなりがちで、せっかくアルミホイールにしても走行性能でデメリットとなる場合もある。
バネ下重量の軽量化は、理論的に走行性能を高めるいっても、体感的に感じられないこともある。とくに乗り心地に関してタイヤの偏平率の影響も絡んでくる。サスペンションがある程度鈍くても50程度の偏平率ならば乗り心地をよく感じられるし、バネ下が軽くても超偏平タイヤではやはり乗り心地を悪く感じてしまうだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)