このイベントを得意とするトヨタ ヤリスWRC、デビューイヤーから3連勝中
ラリー・フィンランドはWRCを代表する伝統的な超高速グラベル(未舗装路)イベント。かつては1000湖ラリーと呼ばれていた。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりの開催となる。
このラリーを得意とするのがトヨタ。フィンランドの道で開発されたヤリスWRCは、デビューイヤーの2017年から2019年にかけて3年連続でラリー・フィンランドを制しており、このラリーでの無敗記録を守っている。ただし、今年は例外的に秋季の開催となるため、例年よりも気温がかなり低くなる可能性が高く、降雨によって路面が湿ったりぬかるんだりすることも予想され、チームにとってはホームイベントながら新たなるチャレンジとなる。
ドライバー選手権では現在、オジェが2位のエバンスに44ポイント差をつけて首位に立っており、前戦のアクロポリス・ラリー・ギリシャでシーズン2勝目を飾ったロバンペラは、エバンスと7ポイント差の選手権4位につけている。
また、前戦を欠場したTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、今回新たにアイルランド人のアーロン・ジョンストンをコ・ドライバーに迎えて出場。さらに、2017年のラリー・フィンランドでヤリスWRCを駆りキャリア初優勝を飾ったエサペッカ・ラッピが、プライベーターとしてエントリーしており、トヨタ勢は合計5台のヤリスWRCが秋のフィンランドの道に挑むことになる。
2021年 WRC ドライバーズランキング(第9戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 180
2位 E.エバンス(トヨタ) 136
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)130
4位 K.ロバンペラ(トヨタ) 129
5位 O.タナック(ヒュンダイ)106
6位 勝田貴元(トヨタ)66
2021年 WRC マニュファクチャラーズランキング(第9戦終了時)
1位 トヨタ 397
2位 ヒュンダイ 340
3位 Mスポーツ フォード 153
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのヤリ-マティ・ラトバラ代表は「私自身のホームイベントであるラリー・フィンランドに、今年チームを率いて臨むのはこれまでとは違う感覚です。このラリーが10月に開催されたことは過去にありません。路面のグリップは例年よりも低いでしょうし、天気が悪ければさらに滑りやすくなると思います。また、ラリー・フィンランドでは1990年代以降行われていなかったナイトステージも興味深い試みです。我々のクルマはフィンランドの道で開発されてきたので、今回もきっと強さを示してくれると思いますが、チャンピオンシップにとって重要な局面において油断は禁物です。カッレにとってもホームイベントですし、最近の2回の優勝が追い風になるでしょう。もちろん、カッレだけでなく我々のチームの全ドライバーが上位争いをできると思っています」とコメント。
ドライバー選手権でトップを走るセバスチャン・オジェは 「ラリー・フィンランドは運転が楽しいラリーのひとつです。ただし、この時期の開催となる今回はこれまでとは違うチャレンジになるでしょう。寒くなることは間違いありませんし、出走順1番手という我々の不利な走行条件が、路面が少し湿ることによって好転することを期待しています。チャンピオンシップに関してはまだ何も決まっていないので、今回のラリーをどのようなアプローチで戦うべきか思案中です。いずれにせよ、このクルマでフィンランドの道を走るのがとても楽しみです」と語っている。
経験がものを言う特殊なハイスピードラリー
サービスパークは例年どおりユバスキュラに置かれるが、70周年記念大会となる今年のイベントではコンパクトなフォーマットが採用されることになった。
ラリーは10月1日金曜日の朝にシェイクダウンを行い、その後、グラベルとターマック(舗装路)がミックスしたユバスキュラ市街地の名物ステージ「ハルユ」で競技がスタート。その後、森林地帯でのグラベルステージが5本続き、初日は6本合計89.42kmのステージが行われる。初日最後のSS6「オィッティラ」はナイトステージとなる。
競技2日目の2日土曜日は、ユバスキュラから南に離れたヤムサの周辺で伝統的な4本のステージを各2回走行。そして、初日に続き市街地ステージのハルユでナイトステージが行われて1日が終了。9本のステージの合計距離は151.95kmと、ラリー最長の1日になる。
最終日3日の日曜日は、例年通りユバスキュラの東側に設定される「ラウカー」と「リイヒマキ」のステージを各2回走行。最終ステージとなるルイヒマキの2本目、SS19はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。