2021年10月29日、トヨタは4月の中国・上海モーターショーでワールドプレミアした新BEV「bZ(ビーズィー)」シリーズの第1弾となるミディアムSUV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」の詳細を公表した。

専用プラットフォームと4WDシステムをスバルと共同開発

次は「ヒトとクルマ」だ。前述のとおりプラットフォームはBEV専用であり、e-TNGAと呼ばれるトヨタのグローバルアーキテクチャーの考え方が反映されたもので、スバルとの共同開発となる。ちなみにbZシリーズでは、中国の電気自動車メーカーであるBYDと、国産車メーカーのスバル、ダイハツ、スズキが開発パートナーとして加わっている。

話を戻そう。このプラットフォームの特徴は、薄型大容量電池パックを床下に平置きされていることだ。これにより、低重心化が図られている。さらに、モーターとトランスアクスル、インバーターを一体化したe-Axle及び充電機能と電力分配機能を集約したElectricity SupplyUnit(ESU)が採用される。ともにトヨタ初となる。

搭載の前後モーターは独立制御となるが、ここでもスバルの4WD技術「X-MODE」が導入される。もちろんトヨタ初だが、さらに新開発された「Grip-Control」がそこに加わる。これにより、モーター駆動の特性を活かした、日常ユースからライトオフロード以上の走行までの対応が可能になったという。

画像: 4WD技術としてスバルのX-MODEが採用されている。

4WD技術としてスバルのX-MODEが採用されている。

コックピットには、ハンドルの上からメーターを見る、トップマウントメーター(トヨタ初)が配される。視線移動を少なくし遠視点化することによる、見やすさを重視したものだ。ステアリングコラムを含めた運転操作系は、操作しやすいようモジュール化され、手元からメーターの視線誘導を促す羽衣のような形状が取られている。

トヨタ初採用の技術であり見た目にも特徴的なのが、ステアバイワイヤシステムと異形ステアリングホイールを組み合わせた「ワンモーショングリップ」(一部車種に採用)だ。ハンドル形状は旅客機の操縦桿に似ており、円の上半分がない・・・というより横長の長方形をしている。

この形状の理由は、ハンドルのロックトゥロックが1回転に満たない回転角度だ。ハンドル操作で持ち替え不要な約+-150度に設定することで、Uターンや車庫入れ、ワインディングロード走行時などでドライバーの負荷を大きく低減。また、ドライバーが感じる操舵トルクと、タイヤの転舵角度を独立に制御して、操舵感向上を図っている。ドライブモードセレクトと連動し、ハンドリング特性の変更も可能だ。

他には、タイヤの動きを制御することで、ロードインフォメーションなど必要な振動のみの伝達を行い、オウトツを乗り越えるような場合やレーントレーシングアシスト作動時の車両の安定性確保も行う。

ワンモーショングリップは、ハンドルとタイヤを直結させず電子制御で操舵するステアバイワイヤにより車内空間拡大にも寄与し、前席足元を広げられることでドライビングポジションの自由度と乗降性の向上もメリットに挙げられている。

画像: 「ワンモーショングリップ」による異形ステアリングホイールも一部車種に設定される。

「ワンモーショングリップ」による異形ステアリングホイールも一部車種に設定される。

エクステリアのデザインテーマは「Hi-Tech and Emotion」で、BEVの斬新さとSUVの迫力を表現したスタイリング。サイドビューは、四隅に配置したタイヤによる長いホイールベースを活かした、スリークなプロポーションとリフトアップしたSUVらしさの融合による新しいシルエットがポイントだ。

フロントビューは、SUVながら上下幅の薄いバンパー形状で、大きなラジエーターグリルを配さないBEVの独自性が表現されている。フードからヘッドランプ上部へと連続する、特徴的なハンマーヘッド形状は、その独自性の現れだそうだ。テールランプやバックドア、リアバンパーは、タイヤへ向かう台形とし、低重心で力強いスタンスを表現する。

最新のインフォテインメントシステムは、クラウド上の地図を情報を活用するコネクティッドナビが装備される。通常のナビゲーション機能に加え、移動支援、充電施設表示、航続可能エリア表示などBEV専用の機能にも対応する。

音声認識機能も充実しており、ワイパーやエアコンなどの動作も可能。OTA(Over the Air/無線通信)により、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」とマルチメディアシステムのソフトウェアがオンラインでアップデートできるのも便利だ。

スマートフォンでロック/アンロック、システムスタートが可能な「デジタルキー」装着車の設定もある。スマートフォン間でデジタルキーの受け渡し可能なため、家族や友人間で離れた場所で車両の貸し借することも簡単にできる。

画像: 低重心で力強いスタンスのリアビュー。

低重心で力強いスタンスのリアビュー。

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