マツダが新しい先進運転支援システム「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」を発表した。2022年から順次市販車への採用を進めていくというこの新しいシステムは、ドライバーを主体としたマツダらしいものに仕上がっているという。その全貌を開発車両の試乗レポートも交えながら解説していく。

道路状況を見極め適切に車両を停止

画像: こちらが試乗した技術試作車。今回の MAZDA CO-PILOT CONCEPT の体験と試乗は広島にあるマツダのテストコース内で行われた。

こちらが試乗した技術試作車。今回の MAZDA CO-PILOT CONCEPT の体験と試乗は広島にあるマツダのテストコース内で行われた。

今回はテストコースで「MAZDA CO-PILOT 2.0」のプロトタイプに試乗。まずは高速道路での走行を想定して直線路を80km/hで巡航していると、いきなりドライバーが姿勢を崩して助手席側にもたれかかるような動作をする。

するとシステムが異常を検知してドライバーに音声やメーター表示で警告を発するとともに、ハザードランプを点灯させてホーンも鳴らし始めた。ステアリングホイールもペダル類もまったく操作していないが、クルマは車線変更を含めて安全に走行を続け、非常停止帯を見つけて停止した。一般道想定では、コーナーの連続する区間でやはり姿勢を崩して運転を放棄。同じようにクルマが運転を代わってくれて非常停止帯に安全に停止した。

同乗者を落ち着かせるための配慮にも感心

ドライバーに代わってシステムが運転しているとき、センターディスプレイに「ドライバーの異常を検知しました」「車線変更します」「減速します」「安全な場所に移動します」「ヘルプネットに接続します。外に出る時は周りにご注意ください」などという案内が表示され、同様の音声アナウンスもされるが、これは主に同乗者向け。ドライバーは意識を失っていると想定されるからだ。

同乗者を慌てさせないため、アナウンスに落ち着いた男性の音声が採用されている。また、コーナーを走る際には助手席目線で余裕のあるライン取りを行うなど、信頼感・安心感を感じさせるための細かな配慮もなされている。

画像: センターディスプレイに表示してくれる案内。その都度状況を伝えるのは同乗者を安心させるための配慮だ。

センターディスプレイに表示してくれる案内。その都度状況を伝えるのは同乗者を安心させるための配慮だ。

第2世代のシステム像もすでに見えている

MAZDA CO-PILOT 1.0は、今ある先進安全技術「i-ACTIVSENSE」のセンサー類を利用するので限られた機能となるが、次世代の2.0でカメラが12個追加され、さらにダイナミックマップなどの3D高精度地図データやロケーターECUも搭載されるので、車線変更や非常停止帯への走行が可能になる。

自動運転のレベル3やレベル4では、自動運転車のODD(運行設計領域)から外れた場合にドライバーが運転を引き継がなければならない。しかし、その引き継ぎがなされない場合には周囲へ警報を発しながら安全に停止させるMRM(ミニマム リスク マヌーバー)が必要とされている。MAZDA CO-PILOT 2.0は機能的には同様といえるだろう。

画像: 具体的な機能の内容とスケジュールも発表。1.0 は 2022年発売のラージ商品群から順次搭載される予定だ

具体的な機能の内容とスケジュールも発表。1.0 は 2022年発売のラージ商品群から順次搭載される予定だ

あくまでもドライバーが主役というマツダの理想と安全の両立を追求

だが考え方や位置づけは違う。MRMは本来「完全ではない自動運転の、補助的な役割」を担うのだが、マツダは現時点でも有効な安全技術と捉えて広く普及させようとしているのだ。だからこそ、MAZDA CO-PILOT 1.0の役割がある。

また、マツダは自動運転技術をドライバーに置き換わるものではなく、ドライバーに運転を楽しんでもらいつつ、万が一のときにドライバーを含めた乗員、および周囲のクルマや人に安全・安心を届けるものと捉えており、あくまでサポートする存在としている。その考え方にもMAZDA CO-PILOT CONCEPTはぴたりと合致するわけだ。(文:石井昌道/写真:マツダ)

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