エンジン車と電気自動車のいいとこどりで、グレードアップ
トヨタとダイハツの超人気コンパクトSUVブラザースが、バージョンアップ。話題の中心となっているのはなんと言っても、両社ともに史上初となる新しいハイブリッドシステムがラインナップに加わったことだろう。
ライズ/ロッキーはともに1.2Lのガソリンエンジンを搭載しているが、これは発電専用。このエンジンで発電した電気を使って100%モーターで走る。プリウスに代表されるこれまでのトヨタ流ハイブリッド「THS II」のように、エンジンからの出力が直接タイヤを駆動する力として使われることはない。それが、いわゆる「シリーズハイブリッド」と呼ばれるシステムの特徴である。
コンパクトなエンジンとシンプルな構造は、サイズの小さなクルマに最適。さらに駆動用電気モーターは発進時から力強いトルクを発揮してくれるので、街乗りで使われることが多いコンパクトカーにはぴったりの特性なのだ。最高出力は106ps、最大トルクは170Nmと、スポーティな1Lターボモデルを凌ぐスペックを発生している。
エンジンで発電するシリーズハイブリッドは、外部からの充電が必要なBEV(バッテリーEV)に比べると航続距離をあまり気にしなくていいことも、重要なポイント。SUVらしく、時にはロングドライブも楽しみたいというアクティブ系ユーザーにもおすすめできる。
シリーズハイブリッドは、エネルギー効率に優れていることも大きな魅力だ。おかげでライズ/ロッキーのハイブリッドモデルは、WLTCモード燃費が28.0km/Lと、クラストップの低燃費性能を謳っている。
フロントマスクでイメージを差別化。それぞれ2グレードを用意
そんな共通点を持つライズ/ロッキーだけに「どちらを選ぶか」が実はちょっと悩ましいところ。プラットフォーム、パワートレーンなど基本的なメカニズムは共通だが、フロントまわりのデザインを差別化することで、ルックスの印象はだいぶ異なるのだ。
ライズは大きな台形グリルでワイド感を強調、よりプレミアムな印象をアピールしているように思える。一方、ロッキーは小ぶりなグリルとシャープなデザインのダクトワークの組み合わせがなかなかにスポーティ。SUVとしての躍動感を、よりダイレクトに感じさせるデザインを採用している。コンパクトなボディながら、強い存在感は両車ともに共通する魅力と言えるだろう。
両車ともにハイブリッドモデルは、ふたつのグレードをラインナップする。ベーシックグレードが「ライズG」と「ロッキー X HEV」、上級グレードが「ライズ Z」と「ロッキー プレミアムG HEV」とそれぞれ名付けられているが、同じベーシック、上級グレードでも装備が微妙に異なるのだ。車名は異なるものの、実質的に4グレードで構成されていると考えるのが、わかりやすいかもしれない。