ダウンフォースの効果は絶大だった
肝心なブレーキだが、ハイスピードからの1コーナーのハードブレーキングも安定した姿勢で制動力も申し分なく、加速時同様、ダウンフォースによって路面に押し付けられている安心感があった。私の試乗は午後だったが、午前中にすで35ラップ以上走行しており、クーリングの時間があったとはいえ、熱ダレやフェードの感じは微塵もなく、ペダルタッチ、効き、コントロール性、いずれにおいても高いパフォーマンスを発揮した。インパネにはブレーキのコンディションをグリーン/イエロー/レッドで示すインジケーターも装備されるが、グリーンのままだった。
4ラップの走行を終え、ピットに戻る。同じグループで走行した中谷明彦さんは「スーパートロフェオ」のレース参戦経験がある。レース仕様はスリックタイヤを履くが、タイヤの違いを差し引けば、ほぼ同様のパフォーマンスであるとのことだった。やっぱり「公道を走れるレーシングカー」だ!
さらに4ラップ走行後、1周のホットラップがあった。100Rは富士スピードウェイの中でも掴みどころがなく一番いやらしい、難しいコーナーだ。コーナリングしている時間が他のコーナーより長く、それなりに速度が乗った状態でアンダーステア、時にオーバーステアをコントロールしながら走らなければならない。そのため、ライン取りも大事だが、ウラカンSTOはコーナーの真ん中を何となーく走れてしまう。もちろん、限界域ではなくタイヤのグリップを余している状態だが、それでもコーナーミドルあたりでスピードメーターをみたら160km/hくらい出ていた。かなり小回りしている感覚だが、それでもアンダーステア知らずで曲がれてしまう。
こんなことができるのも、メカニカルグリップに加え、他でもないダウンフォースが効いているからだろう。これは、AWDのウラカン ペルフォルマンテに乗った時のような、ガッツリと路面を掴んでいるような安定感とは異なる。何となくリアがムズムズするような動きを感じることもあるが、けっしてグリップを失う兆候ではなく、強大なトルクを受けたリアタイヤで車体をグイグイ押しているフィーリング。ドライバーはちょっとスリリングな気分を味わえるが、実際のところクルマのパフォーマンスとしてはまだまだ余裕のようだ。それでも、コーナリング中にかかる横Gの大きさが、パフォーマンスの高さを物語っていた。