扱いやすいサイズのボディにパワフルな直列5気筒ターボエンジンと先進の駆動システムを採用したA3シリーズでもっともスポーティな「RS3」の最新型が登場した。最後になるであろう高性能エンジンと先進の駆動システムが織りなす走りをお伝えする。(Motor Magazine2021年12月号より)

サーキットでは想像以上の高速旋回性能を体感

2日目はアテネから西へおよそ35kmの場所にあるアテネサーキットでスポーツ走行を体験した。ここに現れたRS3は、このシリーズとしては初めてオプションで用意されているセミスリックタイヤのピレリ Pゼロ トロフェオRが装着されていた。

サーキットブリーフィングの後、アウディのワークスドライバー、フランク・シュティップラー氏がドライブするペースカーに続いての高速カルガモ走行をする。ここではドライブモードをクローズドサーキット用にプログラムされたRSパフォーマンスにセット。

すると昨日テストしたRSトルクリアモードと同じようにアイドリング回転数がやや高くなりスタンバイ。走り出すとSトロニックのシフト特性も変化、各ギアでのシフトアップまでの時間が長くなる。

スポーツ走行はかなりのハイペースだったが前日のドリフト走行のおかげでRSトルクスプリッターの特性がわかっていた。そのため無駄のないアクセルワークとハンドル操作で先行車に追従でき、まるで運転の腕がワンランク上がったように感じた。

またこのシステムに呼応するように前述のセミスリックスポーツタイヤのグリップ力によって、ほぼすべてのコーナーでかなりのスピードにも関わらずニュートラルステアを維持することができた。さらにコーナーを脱出してストレートへ向かう際の胸のすくようなエンドレスな加速フィールは自分がまるでツーリングカーレースのドライバーになってフィニッシュラインに向かうような気持ち良さだった。

画像: RS3でとくに注目すべき技術が「RSトルクスプリッター」だ。各センサーで路面と走行状態を把握。それに合わせてリアデフの左右に配置されたクラッチで最適なトルク量を左右の後輪に割り振る。これによりアンダーステアを抑えて走りを安定させることはもちろん、意図的にテールをスライドさせることも可能にするなど、走りの自由度が増した。

RS3でとくに注目すべき技術が「RSトルクスプリッター」だ。各センサーで路面と走行状態を把握。それに合わせてリアデフの左右に配置されたクラッチで最適なトルク量を左右の後輪に割り振る。これによりアンダーステアを抑えて走りを安定させることはもちろん、意図的にテールをスライドさせることも可能にするなど、走りの自由度が増した。

ファイナルエディションとも言えるニューRS3は、一般道路、サーキットともに相応しい高い完成度と成熟度を発揮。久々にICE搭載モデルで走る楽しさを満喫できた。価格はRS3スポーツバックが6万ユーロ(約800万円)、セダンは6万2000ユーロ(約830万円)と安くはないが、5気筒ターボエンジンを搭載した稀有なハイパーハッチ&セダンであることを考えれば投資する価値は十分にある。それが2日間で得た感想だ。 

ドイツでの発売は2021年10月末だが、日本では2022年の初頭と発表されているから、思い悩む時間はまだ十分に残されている。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス、アウディAG)

アウディ RS3 スポーツバック 主要諸元

●全長×全幅×全高:4389×1851×1436mm <4542×1851×1412mm>
●ホイールベース:2631mm
●車両重量:1570kg<1575kg>
●エンジン:直5 DOHCターボ
●総排気量:2480cc
●最高出力:294kW(400ps)/5600-7000rpm
●最大トルク:500Nm/2250-5600rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTPモード燃費:11.3-12.0km/L <11.4-12.1km/L>
●タイヤサイズ:前265/30R19、後245/35R19
※<>内はRS3セダンの数値。
※上記数値はすべて欧州仕様、またはそれに基づいた編集部による換算値。

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