2021年のラグジュアリークラスの話題を席巻したのはメルセデス・ベンツ Sクラスのフルモデルチェンジだ。しかし、各社モデル追加やマイナーチェンジモデルを投入して、ブラッシュアップを図っている。(Motor Magazine 2022年2月号より)

ドイツ勢はラグジュアリー性+スポーツ性で優位性を主張

もともとこのクラスの車種が少ない中でも、こうして改めて見ると新しい動きが多々あった。セダンやワゴンが斜陽といわれるようになっても、ラグジュアリークラスはそうでもないようだ。

まずは、このカテゴリーで絶対的な存在であるメルセデス・ベンツ Sクラスだ。これまで代替わりするたびガラリと変わっていたところ、初めてキープコンセプトのモデルチェンジを行ったといえるわけだが、見てのとおり従来型のW222の特徴だったレトロな雰囲気は鳴りを潜めた。

一方で、眼前に配された大きな液晶ディスプレイや、最先端を行く音声対話やARナビなど、新しいものを積極的に取り入れている。

エンジンラインナップは、これから高性能版や、さらに電動化技術を駆使したものがどんどん出て来るに違いないが、現状ではV8ガソリンとともに設定された直6ディーゼルの出来が秀逸で、これが本当にディーゼルなのかと思うほど静粛性が高く、走りも滑らかなことに驚かされた。

少し遅れて追加されたロングボディのメルセデスマイバッハ Sクラスもすでに日本で発売されている。このカテゴリーでは日本でも世界でも2位以下を大きく引き離してダントツで売れているSクラスだが、この勢力図は今後もそう簡単に変わりそうにない仕上がりである。

ポルシェはパナメーラをマイナーチェンジ。エクステリアの変更は最小限だが、エンジンを改良してパワーアップを実現している。さらに最高出力700psに引き上げた「ターボS E ハイブリッド」の最新モデルを導入した。

画像: ポルシェ パナメーラ。2016年に登場した2代目パナメーラにマイナーチェンジが行われた。

ポルシェ パナメーラ。2016年に登場した2代目パナメーラにマイナーチェンジが行われた。

アウディは最新のRS6アバントおよびRS7スポーツバックがようやく2021年、日本に上陸した。4L V8ツインターボは、5L V10時代をしのぐ600ps/800Nmまで引き上げられた。一方で48V MHEVや気筒休止の採用により効率化も図っている。

クワトロであることを視覚的にも強調する大きく張り出したフェンダーから想起するとおり、セルフロッキングディファレンシャルやリアスポーツディファレンシャルを装備するなど進化したクワトロは、強大なパワーを余すところなく路面に伝えてくれる。

加えて、独自の油圧システムによりコーナリング時のロールや急加減速時のピッチングを抑制する「DRC(ダイナミック・ライドコントロール)」の設定も新しい。

なお、BMWの上級機種にはあまり目立った動きはなかったが、BMWアルピナの「B5リムジン」と「B8グランクーペ」が日本に上陸したことをお伝えしておこう。

ドイツ系以外でもいくつか動きがあった。中でもアメリカンブランドの雄であるキャデラックは、CTSの後継となるEセグメントセダンのCT5を送り出した。FセグメントのCT6が生産終了となっているため、キャデラックのセダンとしては最上位となり、もはや数えるほどしかないアメリカ製セダンの貴重な1台だ。ニュルで鍛えたという走りはいたって現代的な仕上がりで、欧州勢に対しても遜色ない。また、先進装備類の充実ぶりも目を見張る。

ボルボは、60シリーズとともに90シリーズについてもMHEV化を進めるとともに、グーグルによる新しいインフォテイメントシステムを全車に搭載した。さらに、中断していた最上級セダン「S90」が再販される運びとなったこともトピックのひとつである。

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