2021年のラグジュアリークラスの話題を席巻したのはメルセデス・ベンツ Sクラスのフルモデルチェンジだ。しかし、各社モデル追加やマイナーチェンジモデルを投入して、ブラッシュアップを図っている。(Motor Magazine 2022年2月号より)

電動化は避けられない中各社どう個性を出すかに注目

イタリア勢として、このカテゴリーで孤軍奮闘するマセラティにも大きなニュースがある。マセラティとしては一応エントリーモデルとなるギブリは、日本導入が2013年とそれなりに時間が経過しているが、ここへきてディーゼル車の廃止とともに、マセラティ初のMHEVと、フェラーリから供給されるV8ツインターボ搭載車の追加という動きを見せた。

フェラーリはすでに数年前にフィアットグループを離脱しており、そう遠くないうちにエンジンの供給は終了する予定なので、件の「トロフェオ」はおそらく最後のフェラーリエンジンを搭載するマセラティとなる。加えて、こうした高性能車の多くが4WDを採用するようになってきた近年において、同車は後輪駆動である点も特筆したい。

画像: マセラティ ギブリGTハイブリッド。ギブリ ハイブリッドはマセラティ初のマイルドハイブリッドモデル。減速時にスムーズに充電を行う48Vハイブリッドシステムと、直列4気筒の2Lエンジンを組み合わせている。

マセラティ ギブリGTハイブリッド。ギブリ ハイブリッドはマセラティ初のマイルドハイブリッドモデル。減速時にスムーズに充電を行う48Vハイブリッドシステムと、直列4気筒の2Lエンジンを組み合わせている。

ベントレーでは、2020年に生産終了を迎えたミュルザンヌにかわってフラッグシップに格上げとなったフライングスパーに注目すべき動きがあった。新設定となる最高出力550psのV8は、635psを誇る既出のW12の廉価版ではなく、キャラクターの異なる弟分という位置付けのモデルとなる。

一方で、歴代ベントレー車でも環境性能に優れるフライングスパー ハイブリッド(PHEV)が披露されたばかり。第3世代のパワートレーンは、少し前に出た初のPHEVであるベンテイガ ハイブリッドとは異なる2.9L V6にモーターを組み合わせ、95ps増のシステム最高出力を誇る。

ラグジュアリークラスもSUVの人気が高まっているが、車高の低いクルマへのニーズも相変わらず根強い。少数の精鋭がさらなる高みを目指してしのぎを削るさまは、電動化の時代になっても変わらず興味深い。(文:岡本幸一郎)

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