2021年は日本においても各インポーターが相次いで新型BEVを投入し、一気に車種が増えた。今後はBEVを支える十分な充電インフラを国内でどう構築するかなど、本格普及に向けた動きに注目したい。(Motor Magazine2022年2月号より)
プレミアムブランドで目立つBEVの積極的リリース
多額の補助金支給や税の減免、さらに渋滞時のバスレーン乗り入れ許可や充電インフラの充実など、国を挙げての施策が奏功して、販売台数とシェアの大幅向上が伝えられているのが、欧州各国を中心としたBEVとPHEVというプラグイン(外部充電)に対応する乗用車の2021年の状況だ。
裏を返せば、今になっても普及のためにはそんな各種のインセンティブに頼らざるを得ないという点に重要な問題を抱えていると言えなくもないが、とりあえず「そのぶん、内燃機関のみの力で走るクルマが売れなくなっている」という事実は、巷で言われる「100年に一度の大変革」というフレーズすらを凌ぐと言っても過言ではない出来事ではないだろうか。
とはいえ、単純にこれまでの純エンジンモデルと比べてしまうと、BEVは重く、高価で、航続距離が短いというウイークポイントをまだ決して払拭できたわけではない。
先進国の富裕層マーケットを対象に考えればそれらの問題のてっとり早い解決策は「駆動用バッテリーを大量に積むこと」で、だからこそ環境対策に貢献しているというイメージの演出や投資マネーの呼び込みまでも考え、近い将来のBEV専業化を宣言するブランドも、いわゆるプレミアムブランドに限られるが現れはじめた。
実際にここ最近でリリースされたBEVも、BMW iXやアウディeトロンGT、ポルシェ タイカンなど、やはりプレミアムカテゴリーのモデルが目立つことにそうした状況が証明されている。