SKYACTIV以外の進化も刺激的で気持ちが良い
もうひとつ、ブレーキングも絶品だ。まったく乱れなく速度を殺し、安定感を保ったままコーナーをトレースする。ブレーキには特に手を入れていないと言うから、これはひとえにボディ剛性アップや軽量化、ダンパーチューニングの賜物だろう。ハンドリングは小さな舵角か向きを変えていきながら路面のコンディションも伝えてくれる。とても好感が持てる味付けだ。
そして足元を支えている15インチタイヤもなかなか出来が良い。ブリヂストンと共同開発のオリジナルだそうだが、高速域でのコーナリングにも耐えるし、何より乗り心地がいい。16/17インチタイヤは現行型と同様で、これまではユーザーの約7割以上がこちらをチョイスしているという。とはいえタイヤ代が安い15インチは魅力的で、その15インチの性能が高まったことは喜ばしい。
次に17インチタイヤのセダンを試乗した。15インチと大まかな印象は変わらず、上質なドライブフィールだ。ただ、やはりタイヤが大きなぶんだけグリップ感は強まり、15インチの時よりもさらにリアが踏ん張って安定した挙動が続く。15インチでは、コーナーでオーバースピードだとアウト側にふくらむ場面もあったが、こちらはきわめて安定している。フロントが滑る予兆すらもなく、ガッシリとしていた。ただ、後席の乗り心地はさすがに少々硬く感じる。微振動が伝わり、高速域ではノイズも大きめになった。
比較のために、現行型のアクセラにも試乗してみた。こちらはアクセルを軽く踏んだだけで、ヒュンヒュンと軽快に盛り上がり、思っているより3割増しくらいで加速していく感覚だ。これはこれで楽しいし、こういうスポーティ感もありだが、繊細なペダル操作はしにくくステアリングも軽くて、自由度が高い反面コーナリング中の安心感は薄れる。
猿渡主査曰く、「プレマシーから始まった〝統一感〞という概念が、アクセラではさらに熟成されています。スカイアクティブテクノロジーの進化形としてはもちろんのこと、走りと燃費のベストバランスを実現しました。乗っていただくと、走りに妥協がないことはわかっていただけると思いますが、実は燃費に関しても、一切妥協していないんです。どうやっても、現時点ではこれよりいい燃費は出せない。そういうところまで作り込んでいます」とのこと。
世代的にはデミオと同じ4‐1排気系に留まっているが、その実力は期待以上のものだった。SKYACTIVテクノロジーがもたらす新しい世界観を、ハッキリと感じさせてくれた。
■マツダ アクセラスポーツ 20C-SKYACTIV 主要諸元
●全長×全幅×全高:4460×1755×1465mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1997cc
●最高出力:113kW(154ps)/6000rpm
●最大トルク:194Nm(19.8kgm)/4100rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・55L
●JC08モード燃費:17.2km/L
●タイヤサイズ:195/65R15
●当時の車両価格(税込):190万円