トムス CT20h(2011年:カスタマイズドカー)
レース活動を通じて磨かれた技術とノウハウを、市販のトヨタ/レクサス車にもフィードバックしていることで知られるトムスが、レクサスCT200hをベースに独自の味付けを施したのが「トムスCT20h」だ。果たして、その乗り味はどのようなものだろうか。
ハイブリッドカーでありながらも走りを諦めない、それがレクサス CT200h Fスポーツの信条だ。LFAやIS Fの血統を受け継ぐ、レクサス「F」ファミリーの末っ子にあたる。それはつまり、燃費ばかりを追求してきた今までのトヨタ車とは一味違うものだ。
それゆえ、走りのレベルはかなりのものだ。ワインディングロードなどの高荷重領域では、とにかくグイグイと鼻先をインに向けることができ、「スポーツしてる!」という気になれる仕上がりを見せる。
だが、考え方が少しストイックすぎたせいか、日常域で荒れた首都高などを走ってみると、お尻はコツコツと突き上げられるし、頭が揺さぶられて視線が落ち着かないという欠点が見えてくる。まあ、これもレクサスという看板を背負っているからこそ気になるのだが・・・。
本音を言えば、ソフト仕立てのバージョンLやバージョンCが持つ快適性と、Fスポーツらしい走りとを両立してほしかったところだ。
オリジナルのスペシャルサスペンションを装備
だが、このないものねだりを完成させているチューニングカーがすでに存在する。それは、トヨタ系チューナーとして名高い「トムス(TOM’S)が仕上げた「CT20h」だ。
このクルマは、まずシャシ系に前から後ろまでブレースバーを装着することで剛性アップを図っていることがポイント。その上で煮詰めたオリジナルサスペンションの「アドヴォクス」を盛り込むという、トムスの方程式に則った造り込みが行われている。
このほか、マフラーやエアロパーツ、そしてアクセサリー系が充実してはいるが、メインとなるのは、やはりシャシだ。
サスペンションは、ハンドリングの前後バランスを見直すためにノーマルに比べてフロントを柔らかめに、リアを硬めにセット。それと同時に車高を前後とも30mm低めて、安定感を確保。だが、そのままでは乗り心地に不満が出るために、スプリング線形を細くすると同時に巻き数を増やしたり、ダンパー減衰力のバランスも見直すことで、初期の入力を収めようと努力している。