セダンでもなくSAVでもない、BMWの新しい提案
ポルトガルのリスボン空港に迎えに来たのは、今回登場した新ジャンルのモデル、530dグランツーリスモだった。そのまま後席に乗せられ、女性のショーファードリブンでホテルに向かう。
ルーフ後部が低くなったクーペスタイルなので後席の居住性は期待していなかったが、意外なほどヘッドクリアランスがあり、十分なレッグスペースも確保されている。レッグスペースは7シリーズ、ヘッドクリアランス(991mm)はX5並みだそうだ。
後席にもオプションで電動シートが用意される。後席左右のモニター画面を見ながらiDriveが操作できるリモートコマンダーがアームレストに内蔵されている。
電動シートのスイッチはラゲッジルーム側にもあり、左右独立してリモートコントロールで動かせる。これは荷室の広さを変えるときに使うもので、バックレストを倒したり、垂直にしたり、ホームポジションに戻すこともできる。
5シリーズ グランツーリスモは、セダンとツーリングという2つのボディタイプに、新たに加わったユニークなデザインのモデルだ。セダンでもなく、SAVでもない、ロングツーリングが得意なBMWが提案する新しいカテゴリーである。
予備知識などなくても伝わる、BMWならではの個性
5シリーズという名前が付いているが、サスペンションとシャシは7シリーズがベース。3070mmのホイールベースと前1611mmのトレッドは7シリーズのショートボディと共通だ。ホイールオフセットによりリアのトレッドが4mm拡大しているだけである。
ではなぜ5シリーズという名前なのか。それはこのシャシを、来年モデルチェンジする予定の新型5シリーズが採用するからだ。現行5シリーズに加わったのではなく、次世代5シリーズの第一弾と考えた方がわかりやすい。
エクステリアデザインは前方へ傾斜したキドニーグリルがレトロチックではあるが、ボンネットが長くシルエットを新鮮にしている。4ドアモデルでフレームレスのサイドウインドウはBMWでは初めて。
4灯丸ライト、サイドのキャラクターライン、ホフマイスター・クニック(昔のBMWデザイナー、ホフマイスター氏が最初に考え出したCピラーの角のこと。クニックとはバレーなどで膝を折って挨拶するドイツ語だが、その足の曲がりに似ているのでこう呼ばれている)、L字型テールランプなどから、予備知識がなくてもBMWとわかるのはいつも通りだ。
グランツーリスモに搭載されるエンジンは、ガソリン4.4L、ツインターボ600Nmの550i、新型ガソリン3Lツインスクロールターボ400Nmの535i、それに540Nmを発生する3Lディーゼルターボの530dの3種類である。すべてユーロ5排出ガス規制値をクリアする。