電動化の大きな柱となるのは、BEV(バッテリー電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド)。ここではシステムが一新された改良型PHEV「 XC60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション 」の実力を、ライバルと目されるモデル(レクサス NX 450h+ 、メルセデス・ベンツ GLC 、BMW X3 xDrive30e )と比較しながら検証してみよう。ポイントは、EV航続距離の大幅拡大と力強さ、スムーズさだ。(Motor Magazine 2022年6月号より)

システム出力350psの迫力。さらにジェントルさも備える

パワートレーンはどちらも複数用意するが、今回はプラグインハイブリッド同士での比較。どちらも後輪は独立したリアモーターで駆動する4WDDだが、システム構成は異なる。XC60は2L直列4気筒ターボ(253ps/350Nm)+フロントモーター(52kW/165Nm)+リアモーター(107kW/309Nm)、バッテリー容量18.8kWhでEV航続距離は81km。

NXは自然吸気の2.5L直列4気筒(185ps/228Nm)+フロントモーター(134kW/270Nm)+リアモーター(40kW/121Nm)で、バッテリー容量は18.1kWh、EV航続距離は88㎞となる。

画像: ボルボとレクサス、どちらもブランドとして明確な個性を備えたデザインといえる。(左:ボルボ XC60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション/右:レクサス NX 450h+ “バージョンL”)

ボルボとレクサス、どちらもブランドとして明確な個性を備えたデザインといえる。(左:ボルボ XC60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション/右:レクサス NX 450h+ “バージョンL”)

EV走行時にXC60はリアモーター、NXはフロントモーターで駆動を行う。スペックの違いはあるものの、どちらも2トン強の車両重量を軽々と走らせる力強さや瞬発力を備える。ただ、エンジンが始動しハイブリッドモードになると、それぞれの個性が顔を出す。XC60はモーターアシストというよりまるで電動ターボのようなフィーリングで、滑らかなトルクの盛り上がりやエンジンの伸び感などが印象的。ハイスペックながら上質でジェントルな特性だ。

そしてドライブモードをダイナミックに切り替えれば、システム出力350PSの本領が顔を出す。力強さだけでなくレスポンスも鋭くなり、まさにスポーツユニットと言っていいレベルだ。雑味がない心地よいエンジンサウンドも気持ちを上げる要素のひとつだ。

対するNXも負けていない。システム出力は309psとXC60に一歩譲るものの、車重が170kg軽いことでフル加速の速さは同等のレベル。ただ、THS IIに特有の「加速とエンジン回転数のズレ」そして濁音成分が多いサウンドなどは、もう少しリファインが必要だろう。パフォーマンスに関しては甲乙つけ難いものの、フィーリングや洗練度を含めると、XCに軍配が上がるだろう。

優しい乗り味は共通するものの、洗練された感覚はXC60が一枚上手

フットワークはどうか?基本となるプラットフォームはXC60は新世代ボルボでお馴染みの「SPA」、NXはTNGAの「GA-K」をベースにレクサス独自のボディ骨格や補強をプラス。サスペンション形式はXC60が前:ダブルウイッシュボーン/後:マルチリンクでどちらもエアサスペンション仕様。NXは前:ストラット/後:ダブルウイッシュボーンで、コンベンショナルなダンパー仕様となっている。

画像: ボルボ XC60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション。ジェントルで、これぞ大人の乗り味と表現したいスムーズなドライブフィールを体感。

ボルボ XC60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション。ジェントルで、これぞ大人の乗り味と表現したいスムーズなドライブフィールを体感。

XC60の走りは決して機敏ではないが、だからといってダルな印象は受けないという絶妙なバランスを見せるもの。バッテリー搭載による低重心化と前後重量配分の適正化がハンドリングにとっても良い方向に働き、コーナリング時のロールは控えめで4つのタイヤを上手に使いながら実に綺麗に曲がる。落ち着きのある操舵フィール、しっとりと動くサスペンションも相まって、よりジェントルでより大人な乗り味である。

従来モデルは街乗り領域での乗り心地にやや粗さがあり、エアサスペンションの恩恵が少なかった。だが最新モデルではそのあたりもほぼ解消されて、すべての乗員に優しい乗り心地を備えている。

NXの走りは、直感的にスポーティ。ただ、従来モデルと違うのは見せかけではなく「本質の」という枕詞が付く。基本性能の底上げは数十m走ればわかるレベルで、ハンドル切り出し時のスッキリ感、リニアな応答性、サスペンションのスムーズな動きなどはXC60といい勝負。こちらもバッテリー搭載による低重心化と前後重量配分の適正化がいい方向に働いており、バネ上の振動の収まりの良さやシットリとした乗り心地はXCよりレベルは上だと思う。

ただ決定的な違いはシートで、従来のモデルと比べると掛け心地は格段に進化しているものの、サポート性がいまひとつで身体を支え辛い。ここは、道を選ばずに身体を優しく支えるXC60が一枚上手と言ったところだ。

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