「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ Bクラス(2代目)だ。

メルセデス・ベンツ Bクラス(2011年:2代目フルモデルチェンジ)

メルセデス・ベンツのコンパクトMPV、Bクラスが2代目にフモデルルチェンジされた。日本導入は来春(編集部註:2012年春)の予定だが、現地ドイツで早くも行われた試乗会からのレポートをお届けしよう。

画像: FF用の新プラットフォームは、この新型Bクラスから採用され、新型Aクラスや新たなバリエーションも登場予定だ。

FF用の新プラットフォームは、この新型Bクラスから採用され、新型Aクラスや新たなバリエーションも登場予定だ。

メルセデス・ベンツ初のFF乗用車であるAクラスがデビューしたのが1997年(日本導入は1998年から)。2004年にフルモデルチェンジされて、派生車のBクラスも設定された。いずれもサンドイッチ・コンセプトという画期的な構造を誇っていた。二重フロアの空いた空間には将来的にEV(電気自動車)や燃料電池のユニットを搭載、あるいは前方衝突時にエンジンが滑りこんで安全性を高める役割を果たしていた。

ところが、新型Bクラスのフロア構造はコンベンショナルなものへ変更された。車高はほとんど同じでフロアが下がったので室内空間が広くなり、この後に登場するAクラスはスタイリングを一新、低車高としてスポーティになるのがメリットだ。

その反面、メルセデスらしい深遠な思想が失われたことに不可解な思いも抱いていた。だが、今回取材してみるとそれは杞憂だということが判明した。EVや燃料電池化の際には後席の床下のみをサンドイッチ構造にすることで対応するという。以前よりスペースは狭いが、ユニットの技術革新によって事足りるのだという。このフレキシブルな構造こそ、新プラットフォームの要となる技術なのだ。

軽快感は強調され、滑らかな動きもメルセデスらしい

画像: インテリアも最新メルセデスの流儀でまとめられ、高級感は大幅に向上した。シフトはコラム式となりパドルシフトも備える。

インテリアも最新メルセデスの流儀でまとめられ、高級感は大幅に向上した。シフトはコラム式となりパドルシフトも備える。

それ以外にも新型Bクラスには新技術が多数盛り込まれている。エンジンは1.6L 直噴ターボ。122psのB180と156psのB200が設定され、トランスミッションはDCT(デュアルクラッチ トランスミッション)。ともに新開発だ。

走らせてみると、DCTはメルセデスらしくスムーズさが際立っていた。発進、シフトチェンジともに驚くほど滑らかだ。その反面、DCTに期待するスポーティさはあまりないのだが、Bクラスのキャラクターには合っている。パワー的には、B200のほうが走りやすかった。

B180でもスペック的には十分なのだが、燃費を意識したシフトプログムとなっているからか、低回転を多用しすぎで走りのリズムがややとりにくかった。もっとも、クルマの流れが速い欧州での試乗だったから、日本で乗れば印象は変わるかもしれない。

従来型の乗り味はけっこう重厚だったが、新型は軽快感が強調されている。それでも随所で見せる滑らかな動きはメルセデスらしいところ。ランフラットタイヤはバネ下の重さを感じることもあるので、あまりワイドなタイヤは選択しないほうがいいかもしれない。

正直に言えば、新技術の採用が多いゆえ今後の熟成に期待したいところもあるのだが、そこはメルセデスのこと、素早い対応を見せるはずだ。来春の日本上陸までは時間があるので、十分に期待していいだろう。

画像: 基本フォルムは従来型を踏襲しているが、根元が細いDピラーやサイドの大胆なプレスラインなど、最新のメルセデス アイデンティティでまとめられている。

基本フォルムは従来型を踏襲しているが、根元が細いDピラーやサイドの大胆なプレスラインなど、最新のメルセデス アイデンティティでまとめられている。

■メルセデス・ベンツ B200 ブルーエフィシエンシー(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4359×1786×1558mm
●ホイールベース:2699mm
●車両重量:1395kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1595cc
●最高出力:115kW(156ps)/5300rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1250-4000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF

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