16代目クラウンの誕生を機に、各世代のカリスマ性を彩ってきた「はじめて」をあらためて紐解く特別連載企画。第6回は、1979年に誕生した第6世代「MS11#型」をご紹介しよう。トヨタ初のターボや、ツインカムといった新世代技術の「アイコン」が、その特別感をさらに高めていった(Motor Magazine Mook 「TOYOTA CROWN 13th」より)

ご当時インプレダイジェスト──79年式クラウン4ドアセダン2800EFIロイヤルサルーン

6代目クラウンの熟成度の高さの証明!

画像: トヨタ博物館所蔵の1980年式4ドアセダン 2.8ロイヤルサルーン。ガラス、ピラー、ドアフレームなどで、突起段差を小さくし、ウェザーストリップを大型化二重構造としてシール性を向上するなど、きめ細かい対策も怠りなく実施された成果が、このような見事な静粛性へ直結していると言える。

トヨタ博物館所蔵の1980年式4ドアセダン 2.8ロイヤルサルーン。ガラス、ピラー、ドアフレームなどで、突起段差を小さくし、ウェザーストリップを大型化二重構造としてシール性を向上するなど、きめ細かい対策も怠りなく実施された成果が、このような見事な静粛性へ直結していると言える。

ロイヤルサルーンのステータスシンボルは5M-EU型エンジンである。145ps/5000rpm、23.5kgm/4000rpmと、強力である。車重が1450kgであるから馬力荷重は10.3kg/ps、セダンとしては十分のパフォーマンス・レベルである。

ODを組み込んだ2.8L用ATは、従来のA42D型を5M-EU型へマッチさせるための小変更を加えたA43D型で、3速ATプラスODで実質4速ATとして使用できる。

0-400mは、セレクトレバーを操作し、Lレンジ55km/h、2レンジ105km/hでシフトアップを行ない、400m地点は3速ギア122km/hで通過し、ベストタイムが18.24秒、かなりの駿足である。最高速は3速ギアのまま引っ張り161.79km/hがベストである。

高速時の直進安定性の良さは印象強く、これはロイヤルサルーンのパワーステアリングが、速度感応型であること、そしてフロント・サスのキャスターが従来の25分から3度40分へと大幅に強められたことが寄与しているようだ。

画像: セダン・ロイヤルサルーンは、デジタル表示電子チューナーラジオ、置き針式フユーエルゲージ、広角度水温ゲージを採用。アジャストが85mmの広範囲まで調整可能なチルトステアリングを採用する。ドライピンク・ポジションの最適化を図る。

セダン・ロイヤルサルーンは、デジタル表示電子チューナーラジオ、置き針式フユーエルゲージ、広角度水温ゲージを採用。アジャストが85mmの広範囲まで調整可能なチルトステアリングを採用する。ドライピンク・ポジションの最適化を図る。

また、低圧式ガスショックの採用もサスペンション機能向上に役立っている。ソフト・セッティングであるからコーナリングでのロールはかなり深まる。それでも従来よりロール速度が抑えられ、ロール終端でぐっとふみとどまる感じがでており、これは限界コーナリング性能を高めるのに役立っている。また、急激な車線変更での立ち直りもかなり高められている感じである。

防音振動対策が完全であり遮音が徹底しているということであろうか。100km/h走行で最も耳に大きく聞こえる音は、フロアから僅かに上がってくるロードノイズ、風切り音も比較的角張ったボディスタイルに拘わらず極小さく抑えられている。

走りを通じて、あらゆる速度域で静粛さを保ち、この点では少なくともベンツ450あるいはBMW3クラスを凄ぐと表現してもオーバーではあるまい。

コンプライアンスも十分であるし、低圧式ガスショックのマッチングが非常に良く、バネ上が重いこともあって、ロイヤルサルーンの乗員は、乗り心地に不満を覚えることはまずあり得ない。(望月 修)

■トヨタ・クラウン4ドアセダン2800EFIロイヤルサルーン(79年式) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4860×1715×1435mm●ホイールベース:2690mm●車両重量:1490kg●エンジン:直6SOHC●総排気量:2759cc●最高出力:145ps/5000rpm●最大トルク:23.5gm/4000rpm●トランスミッション:4速AT●駆動方式:FR●当時の車両価格(税込):269.2万円

ご当時インプレダイジェスト──81年式クラウン4ドアHT スーパーサルーンターボ

ウルトラサイレントなターボの世界

クラウン・ターボは現在、トヨタ唯一のターボカーである。日産ターボのワイドラインアップに対抗して、ターボ戦線に割り込んできただけに、並々ならぬ力量の持ち主だ。

画像: 1980年10月、トヨタ初のターボカーとしてクラウン・ターボが誕生。カタログでは、ステータス・ターボと謳う.

1980年10月、トヨタ初のターボカーとしてクラウン・ターボが誕生。カタログでは、ステータス・ターボと謳う.

その特徴は、ストリートターボに徹し、幅広いユーザー層に何の違和感もなく溶け込もうという狙いで企画されている。

エンジンは基本的には、従来のM-EU型にターボチャージャーを加えたものであるが、吸気ポートをスワール型とし、低回転時の燃焼効率を高め、またツインノックセンサーを採用して、圧縮比を7.6対1の高めで低回転トルクの落ち込みを防ぐなど、ターボエンジンに見受けられるスロットル・レスポンスの鈍化、ブーストが上がりきらない間の低トルク化を解消すべく工夫されている。

その結果、クラウン・ターボ用のM-TEU型エンジンは、最高出力145ps/5600rpm、最大トルク21.5kgm/3000rpmと、マキシマムもさることながら、低回転トルク型の出力特性を確保している。

クラウン・ターボは、OD付き4速AT仕様のみが用意されており、当初からターボエンジンとATとの相性の良さをフルに活用すべく設計された車である。

2LクラスAT車としては、走りは活発で、0-400mで18秒40、最高速度165.83km/hをマークした。このような限界性能よりも、過渡的な特性のシャープさが印象に残り、常用速度域におけるレスボンスは水準を抜いている。いわば、ドライバビリティに関しては言うことのないターボカーである。

100km/h時63ホンという静けさは、仕上げの良さを象徴している。(望月 修)

■トヨタ・クラウン4ドアHT スーパーサルーンターボS(81年式) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4860×1690×1435mm●ホイールベース:2690mm●車両重量:1410kg●エンジン:直6SOHCターボ●総排気量:1988cc●最高出力:145ps/5600rpm●最大トルク:21.5gm/3000rpm●トランスミッション:4速AT●駆動方式:FR●当時の車両価格(税込):245.1万円

This article is a sponsored article by
''.