Dセグメントとは思えない堂々たるスタイル
C5Xは、CX〜XM〜C6と続いてきたシトロエンのフラッグシップの流れを汲むモデルだ。そのあたりのいきさつは、武田氏のレポートに詳しいので、ここでは省略する。
さて、いにしえのモデル同様のファストバック スタイルの堂々たるボディは、シトロエンのフラッグシップ モデルにふさわしい。Dセグメントに属するとはいえ、全長は4.8mを超え、全幅も1.9m近くあるから、都会で乗りまわすにはこのサイズが限界かな、とも思える。だが、運転席におさまると高めの車高とスッキリしたインパネのおかげで視界は良く、車両感覚はつかみやすい。
今回の試乗車は、ガソリンエンジンモデルの「シャイン パック」。短時間の試乗で、しかも大半が市街地走行だったが、ほんの少しだけ首都高速も走ってみた。おまけに走り出しは小雨も降っているし・・・というシチュエーションだが、そんな条件でもC5Xのファースト インプレッションは悪くなかった。
かつてのフラッグシップ モデルなら3LのV6くらい搭載していて当たり前なのだが、現代のフラッグシップモデルは1.6L!の直4ターボ。それでも最新プラットフォームなどによる軽量化で1.5トンほどに抑えられたボディには180psと250Nmのパワースペックでも十分で、スムーズな加速を見せる。
ATは比較的早めにロックアップするタイプだ。1650rpmで最大トルクを発揮し、20世紀のターボ車のようなラグはないから、2.5Lくらいの自然吸気エンジンを搭載しているような印象だ。
ドライブモードはノーマルがデフォルトで、エコにしても市街地走行レベルなら加速は悪くなく、タルさは感じない。スポーツにするとアクセルのレスポンスが良くなり、ATのロックアップが効くのも感じられ、それなりにスポーティな走りにも対応してくれる。とはいえ、シトロエンのフラッグシップ モデルらしい走り方をするなら、ノーマルでクルマの流れに乗った走りをするほうが似合いそうだ。
ターボの脈動効果もあってか、パワートレーンから発せられる音はいたって静かだ。むしろ、タイヤのノイズが気になるくらいだった。ちなみに、タイヤはグッドイヤーのオールシーズンタイプだ。アイドリングストップ機能はクルマが停止する直前に作動するタイプで、ちょっとショックがある。このあたりの制御は、要修正だろう。