日本車から乗り換えても違和感は少なそうだ
フランス車、とくにシトロエンは、2000kmくらいでクルマがなじんできて、5000kmくらいでアタリがついて、1万kmくらいで本領を発揮するという。今回の試乗車のオドメーターは2000kmちょっと。エンジンも足まわりも、まだまだこれからというところなのだろう。
それでもエンジンの吹け上がりに不満はないし、乗り味はフラッグシップ モデルにしては少し硬いかなと思われたが、路面の継ぎ目や段差などのいなし方は、さすがシトロエンのフラッグシップだと感銘を受けてしまう。これぞ「現代のハイドロニューマチック」と呼ばれるPHC(プログレッシブ ハイドローリック クッション)の効果が大きい。
PHEVモデルでは、さらに進化したPHCがドライブモードに応じてダンパーの油圧をコントロールするという。これもいずれ試してみたくなった。首都高速を少しだけ走ってみたが、80km/hで8速のエンジン回転数は約1700rpm(デジタルのタコメーターは、100rpm単位でしか表示しない)。高速クルージングは、きわめて快適に過ごせそうだ。
日本人女性の柳沢知恵さんがカラーマテリアル プロジェクトマネージャーを務めたC5Xのインテリアは、アバンギャルドなDSとは違い、落ち着いた雰囲気で、どことなく和のテイストも感じられる。「フランス車に乗っている」という感覚は薄く、日本車から乗り換えても違和感は少ないだろう。
今回の試乗では安全&快適装備を試す機会はほとんどなかったが、装備レベルは十分以上。運転を代わってもらってリアシートにも乗ってみたが、スペースはたっぷりしており、乗り心地も良く静かで快適だ。
ラゲッジスペースもミドルクラスのワゴン並みに広く、また大径タイヤでSUV並みの165mmという最低地上高も確保しているから、車名のXが示すようにクロスオーバー的に(SUV的にという意味ではなく、マルチパーパス的に)も使える。
また、ハイウエイクルーザーとして使われる機会が多そうだから、C4などと同様にディーゼルを搭載しても良いのではと思ったのだが、もはやフランス本国をはじめヨーロッパではディーゼルはオワコンであり、欧州仕様にも設定されていない。その代わり、1.2L 3気筒ガソリンターボ搭載車が設定されているという。日本に導入されることはないだろうが、このエンジンでMTを駆使してC5Xをパリの街中で走らせる…なんてのも楽しそうだ。
短時間の試乗では、かなりの好印象だったC5X。機会があればロングドライブや、またPHEVモデルもぜひ試してみたいものだ。(写真:Webモーターマガジン編集部)
■シトロエン C5X シャイン パック 主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1865×1490mm
●ホイールベース:2785mm
●車両重量:1520kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1598cc
●最高出力:133kW(180ps)/5500rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1650rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・52L
●WLTCモード燃費:未発表
●タイヤサイズ:205/55R19
●車両価格(税込):530万円