2009年10月、トヨタ マークXが5年ぶりにフルモデルチェンジされ2代目へと進化した。運転する楽しさやワクワク感、魅力的なスタイリングにこだわったという2代目マークXの出来映えはどのようなものだったのか。ここでは2009年秋に行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年1月号より)

DセグメントのFRモデルがこの価格、輸入車ではありえない

まず試乗したのは250G。車両価格が267万4250円のモデルで、Fパッケージのようにアルミホイールがオプションということもなく標準で付く。他の装備類も必要と思われるものはほぼ付いていて、オプションで装着しなくてはならないのはナビぐらいというタイプだ。

走り出してまず感じるのはエンジンの吹け上がりの滑らかさだ。まるでモーターのようにスムーズによく回る。そして、トルクの盛り上がりにも不満はない。レギュラーガソリン仕様にしたことで、スペック上は最高出力が12ps、最大トルクが17Nmダウンしているが、まったく問題ない。必要にして十分以上の力を持っている。

また、サスペンションは「上質な乗り心地」と「ハンドリングの良さ」という相反する性能を融合させる方向で煮詰めたそうだが、その成果は明らかに感じられた。路面に2cmくらい盛り上がったマンホールの蓋があっても、しなやかにクリアする。サスペンションがストロークしている感じがよくわかる。

コーナリング中も気持ちがいい。横Gがかかっているときは、ハンドルにもしっかり感がある。ただ、まっすぐ走っているときのハンドルの手応えが、もっと欲しい。路面からインフォメーションがあまり感じられず、また微操舵にも的確な反応がないのだ。このあたりは課題のひとつだったようだが、ドイツメーカーのFR車並みになるよう、さらに改善を進めて欲しい。

画像: マークX 350SはVGRS(ギア比可変ステアリング)、VDIM、VSC&TRCを標準装備。

マークX 350SはVGRS(ギア比可変ステアリング)、VDIM、VSC&TRCを標準装備。

次にスポーツグレードである350Sに乗った。すぐに感じたのは250Gよりグッとハンドルに手応えがあるということ。250Gのタイヤサイズが215/60R16であるのに対し、350Sは235/45R18であることが大きいのだろう。しかし、手応えはあるのだが、ハンドルの中立付近での頼りなさは基本的に250Gと変わらなかった。

また、318ps/380Nmのエンジンも高原の一般道を走るレベルでは、その数値ほどに2.5Lとの差を感じなかった。アップダウンのあるワインディングロードや高速道路では、もちろんそれ相応の差が感じられることは間違いないが・・・。

2つのモデルに乗って感じたのは、250Gのコストパフォーマンスの高さだ。HDDナビとクリアランス&バックソナーを装着して308万円ほど。DセグメントのFRモデルがこの価格、輸入車ではありえない数字だ。トータルに見れば、やはり「さすがトヨタ」ということになる。(文:Motor Magazine編集部 荒川雅之/写真:原田 淳)

トヨタ マークX 350S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4730×1795×1435mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:V6 DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:234kW(318ps)/6400rpm
●最大トルク:380Nm/4800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:10.2km/L
●タイヤサイズ:235/45R18
●車両価格:352万5000円(2009年当時)

※主要諸元で、10・15モード燃費とタイヤサイズを誤って表記していました。正しくは10・15モード燃費:10.2km/L、タイヤサイズ:235/45R18です。お詫びするとともに、訂正いたしました。

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