欧州発表からわずか4年で全世界累計販売台数が100万台を超えたクロスオーバー SUVのTロック。国内でもインポートSUVで2位という人気モデルだ。そのマイナーチェンジしたTロックの進化を見る。(Motor Magazine2022年10月号より)

エクステリアには大きな変更はないのだけれど・・・

同じフォルクスワーゲンのラインナップの中でも、ゴルフやポロといった「ビッグネーム」に比べると率直なところその知名度ではまだ及んでいない部分もあるかも知れないが、実際にはデビュー後わずか4年で世界での累計販売台数が100万台を突破したというトップセラーモデルであり、日本でも2021年の登録台数が弟分の『Tクロス』に次ぐ輸入SUVカテゴリーでのナンバー2という記録を達成したというのが『Tロック』というモデル。

画像: TSIスタイルに搭載される1.5L TSI Evoエンジンは7速DSGトランスミッションを組み合わせ気持ちのよい走りを実現。

TSIスタイルに搭載される1.5L TSI Evoエンジンは7速DSGトランスミッションを組み合わせ気持ちのよい走りを実現。

ここで紹介するのは、そのマイナーチェンジが施された最新バージョン。Tロックの日本初導入は2020年の7月で、そこからカウントすると異例に早いタイミングとも受け取られそうだが、実は欧州デビューは2017年の夏。すなわち、すでに丸5年が経過しているということで、モデルライフ半ばでのリファインとしては納得のタイミングとも言えそうだ。

もっともこれまでも好評を博してきたモデルゆえ、一見の印象に大きな変化を伴うような手は講じられていない。実際、新モデルでのエクステリアに纏わるニュースは、前後バンパーの意匠変更やグリル中央のVWエンブレムを挟む水平のLEDストリップ、ヘッドライト形状、デイタイムランニングライト形状の変更などが加えられた程度。もちろん、従来型Tロックオーナーならばそれらも目ざとく見つけるだろうが、そこには大きく悔しがるほどの差はないと言っても良さそうだ。

大幅なクオリティアップに驚かされるインテリア

一方、こちらは一見で大幅リファインを実感させられるのが、インテリア各部の意匠変更と質感の向上。とくに目を引くのが、これまでダッシュボード中央にビルトインされていたディスプレイ。9.2インチと、より大画面化されてタブレット端末を立てかけたようなレイアウトへと変更された。またセンターパネル部の空調スイッチ類が、平面パネルをタッチ操作する方式に改められつつその数を減らしていること。

画像: 中央には9.2インチのモニターを配置、純正インフォテインメントシステムのDiscover Proを採用。

中央には9.2インチのモニターを配置、純正インフォテインメントシステムのDiscover Proを採用。

もっとも、今回の試乗時にそれに触れると、従来型のダイヤル式の方がブラインド操作が可能で、空調吹き出し口も下方へと移動した新型よりも、高い位置にあった従来型の方がよりフェイスレベルの空気の流れを得られて好ましかったという印象も受けた。このあたりは好みの問題ということだろうか。

質感の向上はインテリア全般に及ぶ。これまでダッシュボード全面がハードパッド構成であるなど、コスト低減への腐心も意識された部分には、一部にステッチを施したソフトパッドが採用されるなどでTクロスに対する差別化も実現。それでも全体の雰囲気は上質さが顕著というまでには至らないのだが、時にチープな感触も伴うことがあった従来型のテイストに明確な差をもった仕上げとなったことには間違いない。

予防安全装備面のアップデートも今回のマイナーチェンジでの見逃せない部分。「トラベルアシスト」という同一車線内での全車速運転支援システムや、同様に「エマージェンシーアシスト」と呼ばれる緊急時停車支援システムなどの新装備を、エントリーグレードから標準装備化したことなどは大きなトピックだ。

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