電動化を視野に入れながら官能性の表現にも積極的
一方、スーパーカーの世界では、より高額なセグメントであるため、新たな取り組みもいち早く進んでいる。フェラーリとマクラーレンは示し合わせたかのように次世代の主力となるミッドシップスーパーカーを新開発のV6+電気モーターのPHEVとした。
いずれも理想的な120度V6だったあたりにエンジンへの「こだわり」が見えて、いかにもスーパーカーブランドらしい。また、充電可能なバッテリーによるBEV走行は、街中での静かな走り(たとえば早朝の住宅街)という実利と共に、電動スーパーカーもアリだとユーザーを説得する上で、強力なツールにもなり得る。
マセラティの戦略には老舗ブランドの意地と矜恃が見えた。アイコンとなるミッドシップモデルMC20にまずはICE(新開発V6)を積み、続いて電動モデルを投入予定。グラントゥーリズモの後継モデルにもBEVとICEを用意。
そして、ランボルギーニだ。22年のトピックといえばウラカンの最終章である。まずスーパートロフェオのイメージをロードカーに落とし込んだSTOでスーパーカーファンの度肝を抜き、さらにテクニカやステラートといった派生モデルの発表でモデル末期の名前を一躍、人気急上昇ワードに仕立て上げた。
いずれも「最後のV10」に相応しい完成度を誇っていた。矢継ぎ早に派生モデルが登場した背景にはウラカン後継車の開発遅れがあると言われているが、これほど魅力的なモデルの登場と引き換えならば納得もできる。
そしてブランド大復活から真に飛躍の時代を迎え、ウルスを含めた次世代全モデルの電動化をサンタガータは策定した。22年をもってアヴェンタドール系の生産も終わり、23年春には新型フラッグシップモデルがPHEVで登場。
アヴェンタドール後継モデルはV12+電気モーター+大容量バッテリーで1000ps超えを目指してくるだろう。軽量化にも驚きの秘密があるはず。発表前ながら初期ロットは既に完売というから、ブランドにとっては実に幸先のいい未来のスタートになりそうだ。(文:西川 淳)