「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、スバル WRX STI S206だ。

限界に近い速度域でも高い安定性を維持

画像: エンジンはピストンやコンロッドなどの重量を合わせ、専用のボールベアリングターボやECUなども採用して中速域のトルク特性を改善。

エンジンはピストンやコンロッドなどの重量を合わせ、専用のボールベアリングターボやECUなども採用して中速域のトルク特性を改善。

エンジンはボールベアリング仕様のツインスクロールターボを採用している。視覚的にはインタークーラーに「S206」のロゴを入れることで専用チューンであることをイメージさせている。

最高出力は320ps、最大トルクは431Nmと、前モデルのR205と変わらないが、ECUの専用チューンや低背圧マフラー等の採用によって、中低速トルクの発生キャラクターを扱いやすさを重視したフラットな方向に設定している。これがS206用EJ20型エンジンの特徴だ。

その結果、コーナリング中に2速で回し切りたいところを3速で行ってもストレスをほとんど感じない。また、アクセルの強弱に対するレスポンスがとても良く、ターボ車とは思えないくらい応答が速い。さらにパワーを上げるのは容易だが、そうするとこの中低速で発生するトルクの扱いやすさを犠牲にしなくてはならず、パワーとトルクがいちばんバランスしているのがこの状態なのだろう。

限界域に近いスポーツドライビングでは、コーナーへの進入がとてもスムーズ。高い速度を維持したままでも安定している。限界を超えれば基本的にアンダーステアとなるが、フロントタイヤのグリップを失う瞬間がわかりやすく、滑り方もジワジワとしたものなので不安感は少ない。

アクセルオンでグリップを失う時はイン側リアのホイールスピンから始まるが、センターデフのコントロールをAUTOにセットしておけばフルロックまでのコントロールがリニアに行われるため、雨の中でも非常に安定したトラクションのかかり方を体験できた。

運転が上手になったように感じるハンドリングは、かなりのレベルで達成されていると言えよう。レースだろうが普通の道だろうが運転しやすくなければならない、という開発者の思いがしっかりと伝わってくるモデルだった。

画像: コンソールにシリアルナンバープレートが装着されるほか、トリムパネルにピアノブラック塗装を採用して高品質感も訴求する。

コンソールにシリアルナンバープレートが装着されるほか、トリムパネルにピアノブラック塗装を採用して高品質感も訴求する。

スバル WRX STI S206 主要諸元

●全長×全幅×全高:4605×1795×1465mm
●ホイールベース:2625mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:対4 DOHCターボ
●総排気量:1994cc
●最高出力:320ps/6400rpm
●最大トルク:44.0kgm/3200-4400rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:245/35ZR19
●当時の車両価格(税込):540万7500円<NBR チャレンジパッケージは600万円>

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