2022年のカングージャンボリーではじめて姿を現した日本仕様の新型カングー。ガソリンターボエンジンとディーゼルターボエンジンを搭載したそれぞれのモデルに試乗することができた。

空力性能を高めるスタイリッシュフォルム

話はカングーに戻る。競合車となるのは、プジョー リフターやシトロエン ベルランゴだが、厳密に言うとこれまではポジショニングが少し違っていた。しかし、今回の新型カングーの乗用車的な商品性をみるとリフターに近づき追い越そうということがうかがえる。そう、狙ったポジションは、リフターの上である。

画像: 全長が210mm長くなったことで室内空間、とくにラゲッジスペースが拡大されている。

全長が210mm長くなったことで室内空間、とくにラゲッジスペースが拡大されている。

競合車の車両価格を5シーターで比較すると新型カングーのガソリンモデルが384万円〜400万5000円、ディーゼルモデルが419万円〜424万5000円なのに対し、リフターのディーゼルモデルが398万1000円〜424万1000円、ベルランゴのディーゼルモデルが384万5000円〜423万1000円である。ガソリンモデルはカングーのみのラインナップ。

ディメンジョンは、全長4490mm、全幅1860mm、全高1810mm、ホイールベースは2715mmである。これを従来型と比べると210mm長く、30mm広く、ホイールベースは15mm延長されている。最小回転半径は5.6mだ。この大きくなったボディの恩恵はラゲッジルームに見られる。床面の長さは従来より100mm長くなり1020mm、これは後席を折りたたむことで1880mm(従来比+80mm)に拡大する。ラゲッジルーム容量も5名乗車時で775L(従来比+115L)、最大では2800Lになる。これが従来より132L増えている。

ラゲッジルームへの荷物の積み下ろしに便利なダブルバックドアは、90度で一度ロックがかかりそのロックを外すと約180度まで開くようになっている。また荷室床面までの地上高は594mmと低く、幅が1190mm、高さが1111mmとなる。ちなみにドアで言えば、フロントドアは約90度まで開き、リアのスライドドア開口部は615mmと広く、たとえばチャイルドシートの積み下ろしに便利だ。

エクステリアデザインはフロントガラスを寝かされた流線型になり、サイドウインドウの面積も小さくなりスタイリッシュなフォルムへと進化。またヘッドライトはLEDとなり、クロームで囲まれたフロントグリルなども新型の特徴である。リアセクションは従来とガラッと変わり、フロントと同様にCシェイプのデザインが取り入れられている。

インテリアは、フロントシートがひとまわり大きくなりサポート性を向上している。リアシートは3座独立式、40:60分割可倒機能を用意する。便利な数々の収納も特徴だ。用意されるのはオーバーヘッドコンソール、インストゥルメントパネルアッパーボックス、ダッシュボードトレイ、カップホルダー、フロント&リアのドアポケットである。さらに便利な機能も有している。ハンズフリーカードキー、電動パーキングブレーキ、大きく見やすくなったチャイルドミラー、シートバックテーブルである。

スマートフォン連携も充実するインフォメーションシステム

ADASの充実ぶりも新型カングーの特徴だろう。別表(下記)のとおり先進運転支援システムを数多く標準装備する。

画像: 全幅は1860mmあるので、後席に3人がけしても問題ないほどに室内空間は広い。

全幅は1860mmあるので、後席に3人がけしても問題ないほどに室内空間は広い。

グレードによる装備差は小さく、オプションが少ないのも新型カングーの特徴である。つまりどのグレード、どのパワーレーンを選んでもADASの機能にほぼ差がなく、衝突被害軽減ブレーキやストップ&ゴー機能付ACC、リアカメラ、ブラインドスポットインターベンション(日本仕様初導入)、エマージェンシーレーンキープアシスト(日本仕様初導入)などはすべて標準装備され、オプションで追加料金を払う装備が少ないのだ。さらにこれは当然だが、横滑り防止装置(ESC)、緊急時ブレーキアシスト(EBA)、電子制御動力配分システム(EBD)付ABS、全席シートベルトリマインダー、タイヤ空気圧警報も装備する。

ちなみにルーフレールは全グレードオプションとなるが、その他ではフロアマットやスマートフォンホルダーなどのディーラーオプション&アクセサリーなどが設定される。ちなみに試乗車は2台ともオプションは一切装着されていなかった。さらには7インチのデジタルインパネ(ゼンを除く)、スマートフォンミラーリンク機能付き8インチディスプレイ、2ゾーンオートエアコン、後席エアダクトなども装備される。

8インチディスプレイは、Apple CarPlay、Android Autoが使用できるのでとても便利である。またSiriやGoogleアシスタントを使用しての音声操作もできる。新型カングーは車内にUSBポート(タイプA)を5カ所に用意する。それは8インチディスプレイ、インパネの上にあるボックス、センターコンソールボックス背面(後席)である。さらにインパネの上にあるボックス、センターコンソール(シフト下)、センターコンソール背面(後席)、ラゲッジルームに計4つの12V電源ソケットが備わっている。

これまでも魅力があったMPV性能がさらに進化、ハードウエア/ソフトウエアともに全方位でアップデートされ、かなり乗用車的な快適性をこれまで以上に向上させたクルマに進化した新型カングー。ネガな要素が見当たらない3世代目は、これまでの熱烈な支持層に加え、新たなカングーファンを獲得するに間違いない。(文:千葉知充 Motor Magazine 編集部/写真:井上雅行)

新型カングーの先進運転支援システム

・ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール
・レーンセンタリングアシスト(車線中央維持支援)[※ゼン除く]
・エマージェンシーブレーキアシスト(車線中央維持支援)
・ブラインドスポットインターベンション(後側方車両検知警報)
・レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警報)
・トラフィックサインレコグニション(交通標識品式)
・歩行者・自転車検知機能付アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)[※同一方向車両8〜180km/h、静止車両・歩行者・自転車8〜86km/hで作動]
・オートハイ/ロービーム
・ドライバー疲労検知アラート
・リアパーキングセンサー+リアカメラ
・セーフティディスタンスワーニング(前方車間距離警報)[※30〜200km/hの走行時に作動]

ルノー カングー クレアティフ(ディーゼル) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:直4 SOHCディーゼルターボ
●総排気量:1460cc
●最高出力:85kW(116ps)/3750rpm
●最大トルク:270Nm/1750rpm
●トランスミッション:7速DCT(EDC)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・54L
●WLTCモード燃費:17.3km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):419万円

ルノー カングー インテンス(ガソリン)主要諸元

●全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1560kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1333cc
●最高出力:96kW(131ps)/5000rpm
●最大トルク:240Nm/1600rpm
●トランスミッション:7速DCT(EDC)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・54L
●WLTCモード燃費:15.3km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):395万円

新型ルノー カングー ラインナップ

◎ガソリンモデル
インテンス:395万円
クレアティフ:395万円
ゼン(受注生産):384万円
プルミエール エディション(特別仕様車):400万5000円
◎ディーゼルモデル
インテンス:419万円
クレアティフ:419万円
プルミエール エディション(特別仕様車):424万5000円

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