首位ラッピの脱落で、オジェがラリー・メキシコ通算7勝目
シーズン初のグラベル・ラリーとなるメキシコは、いきなりの波乱で幕を開けた。ラリーのオープニングとなる木曜夜の短い2SSで首位に立ったMスポーツ・フォードのオィット・タナックが、本格的な戦いの端緒となるSS3でターボトラブルに見舞われ、いきなり大きなタイムロスを喫したのだ。
タナックは電気モーターによるハイブリッドブーストに助けられながらなんとかサービスまで辿り着いたものの、上位入賞は絶望的となった。
かわって優勝争いの主役に躍り出たのが、上位陣に比べてスタート順が有利だったオジェとヒョンデのエサペッカ・ラッピ。とくにラッピは好調で、過去このラリーで6回の優勝を誇るオジェを抑えて金曜日を首位で終える。
しかし、そのラッピにも土曜日のオープニングステージ、SS11で悪夢が待っていた。10km地点で姿勢を乱したヒョンデi20N ラリー1は、後方から激しく路肩の電柱に激突。ここでリタイアとなってしまったのだ。
これでオジェは楽になった。この時点で他のドライバーとは大差がついており、あとはリスクを避けながらこの差をキープするだけ。長いキャリアを誇るオジェがこのミッションをしくじるはずもなく、そのまま今季2勝目、ラリー・メキシコ通算7勝目を掴み取った。
オジェは最終パワーステージも制したことで、今季も限定参戦ながらドライバーズ選手権のポイントリーダーに立っている。
僅差の2位争いはヒョンデのヌーヴィルに軍配
一方、オジェの後方ではエバンスとヌーヴィルによる2番手争いが激化。
ベストタイムを連発するヌーヴィルに対し、エバンスが必死に防戦する構図だったが、最大の勝負所と見られていた日曜日のロングステージではエバンスがベストタイムをマーク。その差は5.8秒と広がり、これで決着かと思われた。
しかし続くSS22では、やや姿勢を乱して若干のタイムロスを喫したエバンスに対し、ベストタイムのヌーヴィルがその差を2.7秒に戻す。そして最終パワーステージ、ヌーヴィルが3番手タイムだったのに対し、エバンスは6番手タイムに終わり、わずか0.4秒差でヌーヴィルの逆転2位が確定した。選手権でもヌーヴィルは「レギュラードライバー」の中ではトップとなるランキング2位に浮上した。
WRCの次戦第4戦クロアチア・ラリーは、4月20~23日、首都ザグレブを起点に開催される。路面はターマック(舗装路)となるが、路面の舗装状態が頻繁に変化するためグリップが安定しない上に、砂利や泥が舗装路の上に掻き出されるため非常に滑りやすく、難しいラリーとして知られている。
2023年 WRC第3戦ラリー・メキシコ 結果
1位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h16m09.4s
2位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1)+27.5s
3位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+27.9s
4位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m55.3s
5位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+2m58.8s
6位:G.グリーンスミス(シュコダ ファビアRS ラリー2)+12m31.5s
7位:E.リンドホルム(シュコダ ファビア ラリー2エボ)+13m03.2s
8位:O.ソルベルグ(シュコダ ファビアRS ラリー2)+13m37.7s
9位:O.タナック(フォード プーマ ラリー1)+15m19.6
10位:K.カエタノビッチ(シュコダ ファビア ラリー2エボ)+15m56.6s
2023年 WRCドライバーズランキング(第3戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ)56
2位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)53
3位 K.ロバンペラ(トヨタ) 52
4位 O.タナック(Mスポーツ フォード)47
5位 E.エバンス(トヨタ)44
6位 C.ブリーン(ヒョンデ)19
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9位 勝田貴元(トヨタ)8
2023年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第3戦終了時)
1位 トヨタ 107
2位 ヒョンデ 100
3位 Mスポーツ フォード 73