「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、マツダ RX-8 スピリットRだ。

内外装に専用アイテムを装着した1000台の限定車

画像: ステアリングホイールやパーキングブレーキレバーは専用の赤ステッチ入り。カーナビはオプション。

ステアリングホイールやパーキングブレーキレバーは専用の赤ステッチ入り。カーナビはオプション。

今回は、6速MTモデルに試乗した。ハードなスポーツ走行にも対応したスピリットR専用のレカロ製バケットシートに、ビルシュタイン製ダンパー、専用ブロンズ色に塗られた19インチホイールを組み合わせる。

エクステリアでは、ヘッドランプとリアコンビランプをブラックベゼルにして、精悍さをアップ。CピラーにあるスピリットR専用オーナメントは、あえてRX-7 スピリットRと同じデザインとしている。これはロータリーマニアにはたまらないポイントだ。

インテリアでは、専用の赤ステッチが適度に目立つ。特にスピリットR専用のレカロ製シートはスポーツカーとして十分な硬さとホールド性を持ち、さらに質感も高い。

エンジンそのものは、ベース車のタイプRSと同じで、スペック上はマイチェン前に比べ15ps低い235psとなっているが、マイチェン前のものとエンジンフィーリングを比べると、確実に低中速トルクが太く瞬発力があり、さらに高回転までとてもスムーズな印象を受けた。また、ロータリーエンジンのネガティブファクターとしてあげられる2000rpm以下の極低速回転域のトルクも十分あり、街中をハイギアで走ることも容易だ。

リアル ロータリースポーツは、やっぱり楽しい!

画像: 旋回初期の荷重移動がスムーズで、その後もアクセルの踏み方次第で向きを変えられる素直なハンドリングを実現している。

旋回初期の荷重移動がスムーズで、その後もアクセルの踏み方次第で向きを変えられる素直なハンドリングを実現している。

RX-8は後期型になってさらにファインチューニングされ、できるだけ段付き感を抑えてパワーロスのないようにセッティングしている。ロータリーエンジンを作り続けてきたマツダが表現したいロータリーフィーリングは、やはりこの段付きのないフラットなパワーカーブなのであろう。このロータリーにしか表現できないレブリミットまでストレスなくスムーズに加速していく感じは、アクセルを踏みこんでいて実に気持ちがいい。

さらにマツダ内製である6速MTは、少ないストロークで小気味よくコクコクと入り、スポーツカーらしいフィーリングを感じさせてくれる。

サスペンションは、発泡ウレタンが充填されたフロントサスペンションメンバーに減衰力のしっかりと出たビルシュタイン製ダンパーとの組み合わせだ。路面のアンジュレーションに追従し、ダイレクト感が非常に高く、ステアリングを切ると同時にスパッとノーズが入り、トラクションの掛かりも良い。リニアなハンドリングを作りだし、乗る者を楽しくさせるハンドリングをうまく表現している。荒れた路面ではシートから若干のゴツゴツ感が伝わってくるが、それも気になるレベルではない。

マツダは今後もロータリーエンジンの開発を継続していくと発表した。スピリットRの「R」には、ロータリーに対する想いだけでなく、また必ず舞い戻ってくるという「Return(リターン)」の想いも込められているという。次期ロータリースポーツの登場を期待しつつ、現在のロータリーエンジンの完成形を搭載するこのRX-8 スピリットRで、リアル ロータリースポーツの走りを楽しんで欲しい。

画像: エンジン内部パーツの精度向上により、コンプレッションが上がって吸入空気量も増え、トルクに厚みが出た。

エンジン内部パーツの精度向上により、コンプレッションが上がって吸入空気量も増え、トルクに厚みが出た。

マツダ RX-8 スピリットR 主要諸元

●全長×全幅×全高:4470×1770×1340mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1350kg
●エンジン:直2ローター
●総排気量:654cc×2
●最高出力:173kW(235ps)/8200rpm<158(215)/7450>
●最大トルク:216Nm(22.0kgm)/5500rpm
●トランスミッション:6速MT<6速AT>
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●10・15モード燃費:9.4km/L<9.0>
●タイヤサイズ:225/40R19<225/45R18>
●当時の車両価格(税込):325万円<312万円>

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