2010年2月、ルノーの主力モデル、ルーテシアがマイナーチェンジされた。フロントマスクが一新された新型は、まるでフルモデルチェンジしたかのようだった。Motor Magazine誌に掲載された試乗テストで、第3世代ルーテシアの後期型を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年5月号より)

エクステリアの変更で若々しく精悍なものに

大きな変更点はむしろエクステリアが中心。フロントランプまわり、フロントグリル、フロントバンパー、リアコンビランプ、リアバンパー、リアフォグライトなどが一新されて、若々しく精悍なものになった。先にルノースポールがこのデザインで登場していることもあって、やたらスポーティになった印象が強い。

全長が25mm伸ばされて4025mmとなったことも、よりシャープな印象を与えているようだ。そうそう、ドアミラーも大型化される一方で、ボディカラーとダークグレーに塗り分けられて大きさを感じさせないものになっている。

インテリアではオーディオシステムの変更、インジケーターのデザイン変更、AUX端子の追加設定などが行われている。上質な素材を使ったフェシア、5層構造のフロントガラスなどは継続して使用されている。パドルシフトは1.6には装備されていないが、この後追加設定される上級バージョンで復活するはずだ。

ボディカラーはカラフルな全9色から選ぶことができるが、それぞれが特徴的な色合いで、ペールポム(青リンゴ)、ノワールナクレ(真珠のようなキラキラした黒)といった個性的な名前がついているのもフランス車らしいところだ。これも大きな魅力となるだろう。

画像: 基本的なボディデザインは変わらないが、巧みな味付けで全体的に若々しくリフレッシュされている。

基本的なボディデザインは変わらないが、巧みな味付けで全体的に若々しくリフレッシュされている。

後期型として大きな変更を受けた新型ルーテシア。そのモデルチェンジをアピールするためにも、細部に徹底的に手を加えたことは想像に難くない。「中身は変わらない」というのでは、「なんのための変更か」と言われかねないからだ。次期モデルへの投入を前に、先行して最新仕様の制御を組み込んだとも考えられる。そうなると、新型は単なるスキンチェンジに見えて、実は大幅な改良モデルということになる。

日本仕様のラインナップは5ドアの「1.6」のみとなるが、ルノーらしく、4速ATのほかに5速MTも用意されるのがうれしいところ。3ドアとしてはルノースポールがあるし、今後いくつかの車種追加もあるはずだ。

車両価格は5速MT仕様が209万8000円、4速AT仕様が219万8000円。ライバルと想定されるフォルクスワーゲン ポロが1.4Lエンジンと7速DSGの組み合わせで203万円、プジョー207が1.6Lエンジンと4速ATの組み合わせで199万円からということを考えると十分に競争力がある。

今回の試乗テストを行ったルーテシアは4速AT仕様だったが、その高い基本性能、安全性能を存分に楽しむなら5速MTもお奨めだ。近いうちに5速MTにも乗ってみたい。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:井上雅行)

ルノー ルーテシア1.6 AT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4025×1720×1485mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1190kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:82kW(112ps)/6000rpm 
●最大トルク:151Nm(15.4kgm)/4250rpm 
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:219万8000円(2010年当時)

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