1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、フェラーリ テスタロッサだ。

フェラーリ テスタロッサ(FERRARI TESTAROSSA:1984-1992)

画像: 1984年のパリ モーターショー(パリ サロン)で、それまでのフラッグシップであった512BBの後継車としてデビューした。

1984年のパリ モーターショー(パリ サロン)で、それまでのフラッグシップであった512BBの後継車としてデビューした。

1984年は、フェラーリにとって思い出深いヴィンテージイヤーとなった。春のジュネーブ モーターショーで発表した288GTOに続き、秋のパリ モーターショー(通称パリ サロン)では、栄光の「テスタロッサ」の名を復活させたフラッグシップ スポーツカーを発表したからだ。

フェラーリ好きでなくてもクルマ好きなら御存知のとおり、テスタロッサとはイタリア語で「赤い頭」を意味する。つまり、真っ赤なヘッドカバーのエンジンを搭載したクルマということだが、その車名は1950年代後半のスポーツカー世界選手権レースで活躍した、「500テスタロッサ」および「250テスタロッサ」を起源とする、フェラーリとしては由緒あるものだ。

1980年代に登場した新世代のテスタロッサは、512BBの後継としてフェラーリのフラッグシップとなる。そのデザインは、当時のフェラーリと同様、ピニンファリーナの手によるものだ。

1976mmもある全幅と、サイドマウントされたラジエターを冷却するため、ドアからリアフェンダーにつながる深いスリットがエクステリアの大きな特徴となっている。それゆえトレッドは512BBと比べてフロントは12mmしか広がっていないが、リアは105mmも拡幅されたことで、ボディのワイド感をより一層強調した。

フェラーリの180度 V12エンジンで初の4バルブを採用

画像: シリンダーヘッドを赤く塗装した4943cc 180度バンクのV12 DOHCが車名の由来だった。

シリンダーヘッドを赤く塗装した4943cc 180度バンクのV12 DOHCが車名の由来だった。

もうひとつ外観上で特徴的だったのは、空力的に優れた断面を持つ2本の長いステーで支えられたドアミラーが、運転席側のAピラーにだけ装着されていたことだ。だが、これはデザインバランスを崩すと不評だったので、1986年の小改良時にステーを短くしたドアミラーが左右のAピラーに備わるようになった。

パワートレーンは512BBiの進化型で、下にトランスミッションを抱えた180度 V12をリアミッドに縦置きに搭載した。車名のとおり真っ赤なヘッドカバーを与えられたバルブ直動式ベルト駆動のカムシャフトを持つDOHCエンジンは、フェラーリ製の180度 V12としては初の4バルブヘッドを採用した。最高出力は、欧州仕様で390ps/6300rpm、排出ガス規制の厳しい北米仕様でも380ps/5750rpmというハイパワーを誇った。

エンジンオイルの潤滑はドライサンプ方式で、9.3の圧縮比とボッシュ製Kジェトロニック、マニエッティ マレリ社製のMED120Bによる電子制御点火システムを組み合わせている。メーカー公表の性能値は、最高速が290km/h、0→400m加速が13.6秒、0→100km/h加速が5.8秒という、フェラーリのフラッグシップにふさわしいものとなった。

テスタロッサは、デザインの変更をほとんど受けないまま1992年まで生産され、その座を後継の512TRに譲った。その間に生産された台数は7177台と、高価なスーパーカーとしては大成功を収めたモデルといえるだろう。

画像: 初期型を真正面から見る。運転席側のAピラーに取り付けられたドアミラーの形状が独特だった。

初期型を真正面から見る。運転席側のAピラーに取り付けられたドアミラーの形状が独特だった。

フェラーリ テスタロッサ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4485×1976×1130mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1494kg
●エンジン種類:180度V12 DOHC
●総排気量:4943cc
●最高出力:390ps/6300rpm
●最大トルク:50.0kgm/4500rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・120L
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前225/50VR16、後255/50VR16

画像: amzn.to
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