普通運転免許で1ナンバー。細かな運転条件は要確認
これまで、自動車ライターとしていろいろな企画を担当してきたが、「1ナンバー縛り」というテーマは今回が生まれて初めてだ。
ちなみに「1ナンバー車」とは普通貨物自動車のことで、ざっくりと説明すると4ナンバー(小型・軽貨物自動車)の条件である「全長4.7m以下/全幅1.7mm以下/全高2.0m以下」をどれかひとつでも上回っている車体サイズで、エンジンの総排気量がガソリンでもディーゼルでも2Lをこえており、貨物を輸送するのに適した構造を備えたクルマを指す。
なるほど、ジープのグラディエーターとフィアット プロフェッショナルのデュカトバンは、乗用車を見慣れた目には巨大に映る。
まず、ジープラングラーにピックアップトラックのような荷台を取り付けたグラディエーターは、ボディサイズが5600×1930×1850mmで、排気量は3.6L(ガソリン自然吸気エンジン)。「キャビンより荷室の方が広い」「キャビンと荷室の間に隔壁または保護仕切りを備えている」といった貨物自動車の要件も満たしており、1ナンバー登録となる。
もう1台のデュカトバンはさらに巨大で、もっとも小さい仕様の取材車(L2H2)でも5410×2050×2525mmと全長、全幅、全高のすべてが小型貨物自動車の枠を越えている。ディーゼルターボエンジンの排気量も2.2Lで、普通貨物自動車の要件も満たしていることから、こちらも1ナンバーでの登録となる。
ところで、こんな巨大な2台を目の当たりにして、まず心に浮かび上がったのが「自分の運転免許証で、こんなに大きなクルマを運転できるのか?」という疑問だった。ちなみに、いまから40年近く前に普通運転免許証を取得した私は、免許の条件等のところに「中型車は中型車(8t)に限る」と記された中型運転免許となっている。この部分は、2007年6月1日以前に普通運転免許を取得した方であれば、誰もが同じ内容となっているはずだ。
主として、キャンピングカーのベース車として導入されるモデル
この免許で運転できるクルマは車両総重量8t(トン)未満、積載量5t未満、乗車定員10名以下と定められている。グラディエーターはそれぞれ2850kg/250kg/5名、デュカトバンL2H2は3490kg/1300kg/2名と自動車検査証に記されているので、私はどちらのクルマでも運転が可能だと判断できる。
ちなみに先に記した「免許の条件等」は普通運転免許を取得した時期によって内容が異なるのだが、2017年3月以降の取得でも車両総重量3.5t未満、積載量2t未満、乗車定員10名以下のクルマであれば運転できるので、グラディエーターとデュカトはどちらも大丈夫。ただその場合、デュカトバンL2H2の車両総重量は許される条件の枠にギリギリだ。
ちなみに取材車はデュカトバンでもっとも小型のL2H2という仕様なので枠内に収まったが、L3H2(ロングホイールベース版、全長5995mm)やL3H3(+全高2765mm)では車両総重量が3.5tを越えるかもしれないので、その場合は少なくとも17年3月11日以前に普通運転免許証を取得した方に与えられる「5t限定準中型免許」が必要。自分が取得した免許で運転できる条件と車両総重量、積載量、乗車定員については要確認事項である。
ところで、配送業務などにふさわしそうなデュカトバンだが、実は主として、キャンピングカーに改装するベース車とするために導入されるモデルだという。このため、正規輸入元のステランティスジャパンは、キャンピングカーの架装などを行う全国5社をフィアット プロフェッショナルのデュカト正規ディーラーとして認定して、販売をスタートさせている。
試乗車は、そのベースであるバン仕様の状態である。ちなみに、本格的なキャンピングカーとして架装されたデュカトは1ナンバーの「普通貨物自動車」ではなく、8ナンバーの「特種用途自動車」として登録することができる。
大型車・特大車ではない1ナンバー車は、高速道路料金の車種区分が中型車となるので、通行料金は乗用車よりも高い設定が適用される。だが自動車税や自動車重量税の金額は、乗用車よりも1ナンバー車の方がはるかに安い。
また車検については、車両総重量8t未満のモデルなら初回は2年間有効で、それ以降は1年ごとの検査となる。また自賠責保険、任意保険の金額は、貨物自動車ゆえ走行距離が多いという前提などから、乗用車よりも高い設定だ。