選んだドライビングモードでそれぞれ最高出力が変化
注目のエレクトリックモーターは2基がフロントアクスルに、そして残りの1基はその8速DCT上にマウントされている。センタートンネル内にマウントされるバッテリーは、残念ながらシアンで使用されたスーパーキャパシタの採用こそ見送られたが、長さが1550mm、幅240mm、高さ301mmというコンパクトなサイズと、4500W/kgの高比出力はリチウムイオンバッテリーとしては十分に魅力的なスペックだ。
そのリチウムイオンバッテリーのレイアウトによる低重心化とホイールベースの最適化により、前後の重量配分は44:56を実現。これもまたドライバーに絶対的なマン マシンの一体感と、ナチュラルな走りを感じさせる理由となるのだろう。レヴエルトはその斬新さのみを主張するだけではなく、ランボルギーニの世界観を、きちんと継承したモデルなのだ。
レヴエルトには、6.5LのV12型気筒エンジンに加え、フロントアクスルに2基、8速DCT上に1基のエレクトリックモーターが備えられていることはすでに触れたとおりだ。それによってドライバーが選択できるドライビングモードはトータルで種類。ランボルギーニはこのレヴエルトを、PHEVではなくHPEV=ハイパフォーマンス エレクトリックビークルと表現するが、確かにその走りを想像するに、この表現に疑う余地はない。
ハイブリッドシステムが搭載されたために追加されたドライブモードは、「リチャージ」、「ハイブリッド」、「パフォーマンス」の3つ。ほかにアヴェンタドールからお馴染みの、「チッタ(シティ)」、「ストラーダ」、「スポーツ」、「コルサ」が加わり、その組み合わせによってドライブモードは種類にも達する計算になる。
選択したモードで発揮される最高出力も変化する。EV走行を行うための「チッタ」は、フロントの2基のモーターによる180psの最高出力が上限。バッテリーがなくなった時には、「リチャージ」モードが自動的に介入して高速での充電を行ってくれる。
「ストラーダ」は、快適性とスポーティな走りを両立させたモードで、最高出力は886ps。フロントのモーターはeアクスルとしても機能し、ナチュラルでスタビリティの高いコーナリングを実現する。「スポーツ」モードは、より応答性の高い走りにフォーカスしたモード。最高出力は907psとなり、ドライビングプレジャーは大いに魅力的なものになる。
そして圧巻なのは、1050psという最高出力が発揮される「コルサ」と「パフォーマンス」モードの組み合わせだ。ESCのカットオフやローンチコントロールのシステムも、このモードでならそれを試すことも可能。レヴエルトの持つ運動性能のすべてを体験することができるのだ。
どのブランドよりも前衛的で刺激的なレヴエルトの姿
このレヴエルトの走りを支えるフットワークも、ランボルギーニによって十分に吟味されている。アンチロールバーの剛性向上(アヴェンタドール比でフロント11%、リア50%増)。ステアリングギア比の低速化(同比較でマイナス10%)。
そして4WSや、フロントに265/35ZRF20、リアに345/30ZRF21サイズ、もしくは265/30ZRF21、355/25ZRF22が設定されるブリヂストン製のポテンザスポーツタイヤの装着などとの相乗効果によって、レヴエルトは強靭にして、また俊敏な走りを体験させてくれるのだろう。
エクステリアやインテリアのデザインは、新たに訪れた電動化に伴う課題に向き合うために採用したデザイン言語によるものなのだという。その姿がどのブランドよりも前衛的で刺激的なものであるのは誰もが認めるところ。
個性的なY字型のライトシグネチャーは、ランボルギーニの新時代に極めて重要な役割を果たす。その性能はアヴェンタドールウルティメ比で61%も向上した空気効率に証明される。レヴエルト、その魅力はきわめて大きい。(文:山崎元裕/写真:永元秀和、アウトモビリ・ランボルギーニS.p.A.)
ランボルギーニ レヴエルト主要諸元
●全長×全幅×全高:4947×2033×1160mm
●ホイールベース:2779mm
●乾燥車両重量:1172kg
●エンジン:V12DOHCターボ+モーター
●総排気量:6498cc
●最高出力:825ps/9250rpm
●最大トルク:725Nm/6750rpm
●モーター最高出力:前220kW/3500rpm、後110kW/10000rpm
●システム最高出力:1015ps
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前265/35ZR20、後345/30ZR21
●車両価格(税込):6600万円〜