1963年に創業したランボルギーニ。最初に発売された350GT以降も12気筒エンジンは同社の象徴的な存在である。そんな12気筒のDNA正統継承者が記念すべきアニバーサリーイヤーにデビューした「レヴエルト」なのだ。このハイパフォ-マンスEVがついに日本で初披露されたが、本誌ではそのディテールまで独自撮影することが叶った。(Motor Magazine2023年8月号より)

6.5L V12エンジンに3基のモーターを組み合わす

2023年が創立周年のアニバーサリーイヤーとなるランボルギーニ。1999年にアウディの傘下に収まってからのほぼ四半世紀は、ランボルギーニにとって、その歴史の中でもっとも安定し、そして成長を遂げた時代と言える。

画像: ランボルギーニのV12気筒モデルの象徴となる垂直に開くシザードアはレヴエルトにも採用、大きな特徴となる。

ランボルギーニのV12気筒モデルの象徴となる垂直に開くシザードアはレヴエルトにも採用、大きな特徴となる。

そのランボルギーニが現在推進しているのが、「ディレッツィオーネ コル タウリ」とネーミングされた、ランボルギーニのプロダクションモデルのみならず、サンタアガタボロネーゼの本社施設を含めた脱炭素化を目指す中期ロードマップだ。

コル タウリとはランボルギーニのエンブレムに描かれる牡牛座の中でもっとも明るい恒星であり、それは電動化が必要不可欠となる未来においても、ランボルギーニの魅力は変わらないという強い意志の象徴だった。

20年代後半までの期間を、3つのフェーズに分けて進められるディレッツィオーネ コル タウリは、19年に発表された限定車の「シアンFKP37」と、翌年追加された「シアン ロードスター」、また「カウンタックLPI1800-4」によって実現した、HEV化によって大きく前進した。

そして今年、ランボルギーニはそれに続く限定車ではないプロダクションモデルの(すでにオーダーからの納車までには何年かの時間が必要とも伝えられているが)ニューモデルをリリース。外部充電を可能とするPHEVのシステムを持つそのモデルには、やはりランボルギーニの伝統に則って、かつて闘牛の世界で圧倒的な強さを見せたという「レヴエルト」なるネーミングが掲げられた。

そのレヴエルトのジャパンプレミアが東京で早くも行われた。会場には歴代のランボルギーニ製気筒モデルも並び、その新世代への進化を祝うかのようにも見えた。

コンポーネントとしての革新が実現した軽量化と安全性向上

レヴエルトは前作のアヴェンタドールと何が異なるのか。これほどの愚問はないだろう。その問いにはすべてであると回答するほかはないからだ。まずはその核ともいえるカーボンファイバー製の新型モノコック、「モノフセレージ」の解説から始めることにしよう。

画像: エンジンから繋がる2つの六角形のエキゾースト。テールライトもY字型がデザインされる。

エンジンから繋がる2つの六角形のエキゾースト。テールライトもY字型がデザインされる。

航空工学にインスピレーションを得たというこのモノコックは、複数のカーボンテクノロジーによるセンターセクションに、フォージドカーボン製のフロントセクションを組み合わせた構造を持つもの。それによってレヴエルトのモノフセレージはアヴェンタドールのモノコックよりさらに10%軽量になり、捻じれ剛性は25%高い40000Nm/度という驚異的な数値を記録している。

そのデザインの特徴は、フォージドコンポジッドによる環状の一体型コンポーネントに、タブやフロントファイアウォール、Aピラーなどのコンポーネントを接合していること。フロントのサブフレームは金属構造と比較してエネルギーの吸収量が大幅に増加。軽量化や安全性に大きく貢献する。

ミッド搭載のエンジンは、ようやく70年代にパオロ・スタンツァーニによって考案された、V型12気筒エンジンとトランスミッションを縦方向に接続し、それを車体後方からインストールする方式から脱却することになった。

6.5LのV型12気筒DOHCバルブエンジンは、最高出力で825ps/9250rpm、最大トルクは725Nm/6750rpmを発生。排気量からも想像できるとおり、これはアヴェンタドール用のそれをベースに、さらに改良を施したもの。

実際にはエアインテークダクトの吸気量を増やし、同時にその流れを最適化。さらに2個の制御ユニットが燃焼室内のイオン化を制御することによる最適化などが図られている。圧縮比も12.6へとさらに向上。重量も軽減された。トランスミッションが8速の湿式DCTに変更されたのも大きな話題だ。

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