スーパー耐久シリーズはまさに、内燃機関の未来を育む「走る実験室」。水素をはじめ合成燃料やバイオディーゼルなど、CO2排出量実質ゼロを目指したエンジン車たちが、それぞれの課題に向き合い、克服するために切磋琢磨しています。一方で気になるのは、そうした挑戦が市販車の世界に生かされるのは、果たしていつなのか?今回はディーゼルの活路を開こうとしているマツダの取り組みに注目。開発担当者の「市販化」に向けた展望など、ディーゼルファンはもちろん、内燃機関の将来に期待したいクルマ好きにはぜひ期待して欲しい「これから」のお話です。

ユーザー側はHVOに興味津々。LCAではBEVを逆転する可能性も

スーパー耐久レースのイベント広場に設けられたマツダブースでは、ボディサイドにBIO FUELと描かれたCX-60と、初期型のレース仕様のデミオが展示され、CNFに関する掲示物が並べられていました。

画像: 化石燃料に代わるカーボンニュートラルなバイオ燃料の普及拡大を目指す「ひろしま “Your Green Fuel” プロジェクト」の一環として、マツダは広島エリアにバイオディーゼル燃料の原料製造・供給から利用に至るバリューチェーンを構築。実際に車両で利用して、地産地消モデルの構築を目指す。

化石燃料に代わるカーボンニュートラルなバイオ燃料の普及拡大を目指す「ひろしま “Your Green Fuel” プロジェクト」の一環として、マツダは広島エリアにバイオディーゼル燃料の原料製造・供給から利用に至るバリューチェーンを構築。実際に車両で利用して、地産地消モデルの構築を目指す。

訪れたユーザーの中には、マツダだけでなく他メーカーも含めたディーゼル車に乗っていて、今後、どこまで愛車と気後れすることなく付き合えるのか気になる、という人が少なくなかったそうです。

詳細は後述しますが、マツダが試算したLCA(ライフサイクルアセスメント)という手法でのCO2排出量の優位性比較が、ちょっと興味深い結論を導いています。

2019年に論文発表されたレポートによれば、20万kmを走るという前提での部品・車両の製造段階から廃棄・リサイクル段階までに排出されるCO2の総量を試算した場合、実は、通常の軽油を使ったクリーンディーゼルであっても、従来の日本における製造過程・発電インフラを継続使用した場合のフルバッテリーEVに対してわずかに優位性が保たれる可能性が高いといいます。

もちろん、製造技術や廃棄・リサイクル技術の進化にともなって、それぞれの数値は変わります。しかしHVO100でなく、すでに日本国内でも少しずつ進んでいるバイオ由来20%混合の燃料であっても、CO2排出量は大幅に抑制できるかもしれません。

画像: スーパー耐久最終戦、富士4時間レースのイベント広場では、カーボンニュートラルが楽しく学べる多彩なブースが並んでいた。S耐は今や、サスティナブルな未来のモータリゼーションに興味がある自動車ファンにとっては、格好の学び場となっている。

スーパー耐久最終戦、富士4時間レースのイベント広場では、カーボンニュートラルが楽しく学べる多彩なブースが並んでいた。S耐は今や、サスティナブルな未来のモータリゼーションに興味がある自動車ファンにとっては、格好の学び場となっている。

運転する楽しさを与えてくれるパートナーとしての進化

画像: S耐では、遮熱膜によるピストン入熱低減のほか、量産を目指す新技術の耐久性向上などの実装検証が着々と進められた。走行特有のストレスのかかり方を把握するとともに、トランスミッションケースの強化や放熱性の向上、ギヤの材料&熱処理変更といった工夫による強化、さらにはエンジントルク制御を生かした変速ショック抑制を実現するなど、エンジン以外にもさまざまな成果が挙がっている。

S耐では、遮熱膜によるピストン入熱低減のほか、量産を目指す新技術の耐久性向上などの実装検証が着々と進められた。走行特有のストレスのかかり方を把握するとともに、トランスミッションケースの強化や放熱性の向上、ギヤの材料&熱処理変更といった工夫による強化、さらにはエンジントルク制御を生かした変速ショック抑制を実現するなど、エンジン以外にもさまざまな成果が挙がっている。

MAZDA SPIRIT RACINGによるレース活動には、他にも恩恵があります。カーボンニュートラルだけでなく、ディーゼルエンジンの効率向上の研究・開発にも取り組んでいます。富士最終戦で走ったマツダ3は最高出力300ps/最大トルク530Nmを発生させるなど、ここ1年の間にも大幅なポテンシャルアップが図られています。

そうした技術のすべてが市販車にフィードバックされるかどうかはわかりません。あるいはさらに一歩進んだ技術、たとえばハイブリッド化も含めたさらなる高効率化が検討される可能性もありえるでしょう。

いずれにしろスーパー耐久における自動車メーカー5社の取り組みは、これからも内燃機関が環境に優しいテクノロジーとして、そして運転する楽しさを与えてくれるパートナーとして、まだまだ活躍できる可能性を切り拓いてくれるものであることは確かです。

可能ならそれに先行する形で、バイオ燃料にせよ合成燃料にせよ、さまざまなカーボンニュートラル燃料の普及が日本でも順調に進んでいくことを願いたいものです。

同時に、クルマを使うユーザーの側がそうした変化を理解し、認識を深めることで普及が促進され、さらに供給量が増えていけば価格についてもそうおうの競争力をつけることができる・・・という、好循環が生まれることに期待したいですね。

画像: 2021年9月、制御プログラムの最新化サービスMAZDA SPIRIT UPGRADE(マツダ スピリット アップグレード)」の第一弾として、SKYACTIV-D 1.8のエンジン制御プログラムを最新化した「MAZDA SPIRIT UPGRADE D1.1」サービスの提供を開始した。アクセル操作に対する応答性やコントロール性が向上、最高出力は116psが130psと大きく進化している。S耐で培われた知見、技術は将来新たなグレードアップサービスとしてフィードバックされることになるだろう。

2021年9月、制御プログラムの最新化サービスMAZDA SPIRIT UPGRADE(マツダ スピリット アップグレード)」の第一弾として、SKYACTIV-D 1.8のエンジン制御プログラムを最新化した「MAZDA SPIRIT UPGRADE D1.1」サービスの提供を開始した。アクセル操作に対する応答性やコントロール性が向上、最高出力は116psが130psと大きく進化している。S耐で培われた知見、技術は将来新たなグレードアップサービスとしてフィードバックされることになるだろう。

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