ユーザー側はHVOに興味津々。LCAではBEVを逆転する可能性も
スーパー耐久レースのイベント広場に設けられたマツダブースでは、ボディサイドにBIO FUELと描かれたCX-60と、初期型のレース仕様のデミオが展示され、CNFに関する掲示物が並べられていました。
訪れたユーザーの中には、マツダだけでなく他メーカーも含めたディーゼル車に乗っていて、今後、どこまで愛車と気後れすることなく付き合えるのか気になる、という人が少なくなかったそうです。
詳細は後述しますが、マツダが試算したLCA(ライフサイクルアセスメント)という手法でのCO2排出量の優位性比較が、ちょっと興味深い結論を導いています。
2019年に論文発表されたレポートによれば、20万kmを走るという前提での部品・車両の製造段階から廃棄・リサイクル段階までに排出されるCO2の総量を試算した場合、実は、通常の軽油を使ったクリーンディーゼルであっても、従来の日本における製造過程・発電インフラを継続使用した場合のフルバッテリーEVに対してわずかに優位性が保たれる可能性が高いといいます。
もちろん、製造技術や廃棄・リサイクル技術の進化にともなって、それぞれの数値は変わります。しかしHVO100でなく、すでに日本国内でも少しずつ進んでいるバイオ由来20%混合の燃料であっても、CO2排出量は大幅に抑制できるかもしれません。
運転する楽しさを与えてくれるパートナーとしての進化
MAZDA SPIRIT RACINGによるレース活動には、他にも恩恵があります。カーボンニュートラルだけでなく、ディーゼルエンジンの効率向上の研究・開発にも取り組んでいます。富士最終戦で走ったマツダ3は最高出力300ps/最大トルク530Nmを発生させるなど、ここ1年の間にも大幅なポテンシャルアップが図られています。
そうした技術のすべてが市販車にフィードバックされるかどうかはわかりません。あるいはさらに一歩進んだ技術、たとえばハイブリッド化も含めたさらなる高効率化が検討される可能性もありえるでしょう。
いずれにしろスーパー耐久における自動車メーカー5社の取り組みは、これからも内燃機関が環境に優しいテクノロジーとして、そして運転する楽しさを与えてくれるパートナーとして、まだまだ活躍できる可能性を切り拓いてくれるものであることは確かです。
可能ならそれに先行する形で、バイオ燃料にせよ合成燃料にせよ、さまざまなカーボンニュートラル燃料の普及が日本でも順調に進んでいくことを願いたいものです。
同時に、クルマを使うユーザーの側がそうした変化を理解し、認識を深めることで普及が促進され、さらに供給量が増えていけば価格についてもそうおうの競争力をつけることができる・・・という、好循環が生まれることに期待したいですね。