クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。今回はMotor Magazine誌で掲載した長期レポート「ホンダZR-V」を紹介していこう。ZR-Vの4モデルを1カ月ごとに1台ずつ試乗し、その乗り味や魅力を確認した。その第2回はX(FF)を送る。(Motor Magazine 2023年10月号より)

純エンジン車ならではのサウンドや走りが魅力

さて乗り味だが、搭載しているL15C型1.5L直4VTECターボは、1700rpmから4500rpmと広い領域で最大トルクを発生しながら、6000rpmのトップエンドまで気持ちよく回るエンジンだ。

画像: 178ps/240Nmを発生する1.5L直4ターボエンジン。FF、4WDともにトランスミッションはCVTとの組み合わせ。

178ps/240Nmを発生する1.5L直4ターボエンジン。FF、4WDともにトランスミッションはCVTとの組み合わせ。

e:HEVモデルより車両重量は100kgも軽いので、その走りは想像していた以上に軽快。純エンジン車ならではの自然なエンジンサウンドや反応が味わえるのも魅力である。

第1回でも書いたが、乗り心地がいいのもこのクルマの特徴。それはターボモデルでも変わらず。最低地上高190mmを確保し、しっかりとストロークする足は、重心もそれなりに高いはずだが、ハンドルを切った際にふらつくことや高速走行時に不安を感じることはない。

もっとも車両重量が軽いこのXはとくにフットワークが軽いようだ。だからワインディングロードを走って楽しいのはこちらの方になるかもしれない。SUVでありながら、基本的に乗り味はスポーティな傾向で、ハンドルを握って運転が楽しめるのはZR-Vのどのモデルにも共通しているところなのである。

ボディサイズのわりに運転しやすいのもポイント

画像: 装着されるタイヤはZR-Vの場合、全モデル225/55R18と共通サイズで、テスト車が装着していた銘柄はブリヂストンのアレンザだった。

装着されるタイヤはZR-Vの場合、全モデル225/55R18と共通サイズで、テスト車が装着していた銘柄はブリヂストンのアレンザだった。

これまで気づかなかったのだが、今回の試乗期間中、助手席に知人を乗せた時のこと。その人は走行中アシストグリップに掴まるくせのある人(運転が怖いわけではない)で、ZR-Vの前席にアシストグリップが付いていないことを指摘された。ただし、代わりにドアトリムに掴まるのに最適なくびれがあるので、そこで代用ができることもお伝えしよう。

e:HEVモデルからガソリンモデルに乗り換えてZR-V歴は2カ月目となる。ここまで乗ってきて共通して感じたことは、とにかく運転がしやすいことだ。それはなぜか? 少し高めのアイポイントと低く水平のダッシュボード、細身のAピラーによる視界の広さにある。

さらに前方だけでなく、後退時や車線変更時などルームミラー越しの後方視界も良い。これは日常のドライブでの運転のしやすさに繋がる大切な部分なので、ZR-Vは運転しやすいクルマと言って間違いないだろう。

上級グレードに用意される豪華装備やe:HEVのスムーズな走りも魅力的だが、どうしてもその分車両価格は高くなってしまう。しかし、ZR-VはベースモデルのXでも十分な装備を備えていて、純ガソリン車としての走りの質も高いので、それが300万円を切る価格で……と考えると、装備に不足を感じない人であれば、思わず「こういうのでいいんだよ」と言ってしまうSUVである。

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