クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。今回はMotor Magazine誌で掲載した長期レポート「ホンダZR-V」を紹介していこう。ラインナップされる4モデルを1カ月ごとに1台ずつ試乗し、その乗り味や魅力を確認した。第3回はe:HEV Z(4WD)の印象をご紹介しよう。(Motor Magazine 2023年11月号より)

最上級グレードのe:HEV Z 4WDをレポート

これまで2カ月にわたりテストしてきたハイブリッドのe:HEV ZとガソリンターボのXは、ともにFFモデルだった。今月は最上級グレードとなるe:HEV Zの4WDをテストした。進化したホンダのリアルタイム4WDはどんな走りを見せてくれるのか、FFモデルとの違いなどを含めレポートする。

画像: 今回の長期レポート車両はZR-V e:HEV Z 4WD。ZR-Vの最上級モデルとなり、価格は410万3000円。

今回の長期レポート車両はZR-V e:HEV Z 4WD。ZR-Vの最上級モデルとなり、価格は410万3000円。

ZR-Vの4WDはガソリンモデルとハイブリッドモデルそれぞれに用意されている。パワートレーンは前者が1.5L直噴ターボエンジンで、後者が2L直噴エンジン+モーターのスポーツe:HEVとなるが、ともにリアルタイム4WDが採用する。

このシステムは、四輪での駆動を基本に、コーナリング時や登坂時など走行状況に応じて前後の駆動力を細かく調整するものだ。ホンダでも従来FFベースの4WDの場合は、前輪が滑ってから後輪に駆動力を伝えるという制御が多かったが、これにより常に四輪で走り、その制御を細かくコントロールすることで、これまで以上に安心して安定した走りが可能になった。

とくに2023年の2月に行われた雪上試乗会でも、その走破性とコントロール性の高さが評価されている。また、ZR-Vには全モデルでホンダのSUVで初となる「SNOWモード」も搭載しているのもポイントだ。

と、前置きが長くなってしまったが、今回はそんな雪上でも高評価の4WDモデルのテストである。しかし試乗期間は真夏。当然、雪は降らないし、悪路も体験できそうにない。そんな状況でFFとの差がどこまでわかるのかと気になっていた。

e:HEVと4WDの組み合わせはスポーティ

まず今月のテスト車を説明すると、グレードは最上級モデルとなるe:HEVのZ。前回まででも紹介しているように豪華装備が魅力のZだが、4WDモデルになると、熱線入りフロントウインドウ、フロントドア撥水ガラス+親水/ヒーテッドドアミラー、リアシートヒーター(左右)といった装備が追加される。どれも冬場や雪国では重宝する機能だ。

画像: 4WDに標準装備される後席用のシートヒーター。そのスイッチはパワーウインドウスイッチの前側に用意される。前席より冷えることのある後席に用意されているのはありがたい。

4WDに標準装備される後席用のシートヒーター。そのスイッチはパワーウインドウスイッチの前側に用意される。前席より冷えることのある後席に用意されているのはありがたい。

それ以外に見た目などでは大きな違いはないが、車両重量はe:HEVのZの場合1630kgで、FFとの差は50kgとなる。

さっそく乗ってみた印象だが、街中や高速道路など走り回ってはじめに気づいたのは直進安定性の高さ。出足から常時四輪で駆動するので、加速時の後ろから押されるような感触を感じながら、速度を上げていっても終始安定している。しかもコーナリング時に至ってはその安定感を保ちながら、巧みなトルク配分により、むしろFFモデルよりも曲がるのではないか、そんな印象すら受けた。

同時に気になったのは、足まわりや乗り味がこれまで乗っていたFFモデルよりも少し硬く感じたこと。4WDモデルではリアにもトラクションが掛かるため、サブフレームマウントのストッパー形状や、コンプライアンスブッシュの特性を変更しているようだが、もちろんそれだけではなく、サスペンション自体のセッティングも異なるのだろう。それも含めて全体的にFFモデルよりもスポーティな味付けになっていると感じた。

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