8世代で3700万台以上を販売したゴルフ
ゴルフ(Golf)は、フォルクスワーゲン ブランドの中核モデルであり、他に類をみない世界的なベストセラーモデルだ。8世代にわたって全世界で3700万台以上の車両が販売されてきた。
2024年、ゴルフは記念すべき誕生50周年を迎える。同年1月には、ビッグマイナーチェンジされるゴルフのワールドプレミアが予定されているが、その前に初代から現行型8代目までの系譜を短期連載でふり返っておこう。
今回は、初代と2代目だ。
ビートルの後継車として登場した初代ゴルフ(1974〜1983)
量産の初代ゴルフは、1974年3月末にヴォルフスブルクのフォルクスワーゲン工場で生産された。正式な市場投入は5月から。それまでフォルクスワーゲンといえば「ビートル」、つまりRR(リアエンジン・リアドライブ)だった。それが、初代ゴルフの登場で、ついに新しい時代が始った。ゴルフは、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)を採用したのだ。
もっとも、フォルクスワーゲンでもFF方式は既に1973年に導入されたシロッコとパサートによって先に採用されていた。また、FFを最初に採用したフォルクスワーゲン車は、1970年に発表され、NSUに引き継がれたK70だった。だがゴルフの登場で、FF方式の採用が本格化したことになる。
2150万台以上が製造されたビートルの後継者となるゴルフは、ジョルジェット・ジウジアーロとフォルクスワーゲンによって設計された。そして、これまでで最も成功したクルマであるビートルのサクセスストーリーを継続するという大きな期待に応えなければならなかった。
だが、モダンで安全なドライブコンセプト、テールゲートと折りたたみ式リアシートバックによる高い使い勝手、そしてデザインは大きな人気を集めた。1976年10月、ゴルフは早くも100万台を生産した。ゴルフの派生モデルであるセダンのジェッタを含めて、初代ゴルフは世界中で690万台が販売された。