BEV化とスポーティ仕様が鋭意進行中
2018年にデビューしランボルギーニの業績を大きく向上させたウルスは、2023年のマイナーチェンジでウルスSとウルスペルフォルマンテの2グレードとなった。666psのエンジンは共通だが、後者のほうが軽量で0→100km/h加速は0.2秒短い3.3秒、最高速は1km/h高い306km/hとなる。
ウルスが先鞭を付けたエンジン車で3000万円級のウルトラハイパフォーマンスSUVはBEVシフトを前にブームになっていて、0→100km/h加速が3秒台前半、最高速が300km/h以上というのがあたりまえ。
フェラーリ初の4ドアであり自身はSUVとは謳っていないプロサングエは6.5L V12自然吸気エンジンをフロントミッド搭載して、0→100km/h加速3.3秒、最高速310km/hとなる。
英国発祥のブランドにも注目の動きがあった。ベントレーは最速競争ではなく、ラグジュアリーを極めるべくベンテイガEWB(エクステンデッドホイールベース)をデビューさせた。
ブランドの再構築を図っているロータスはBEVのハイパフォーマスSUVであるエレトレを発表。最上級グレードのRは0→100km/h加速は2.95秒という強烈な速さで、テスラ的なガジェット感がある点も新鮮だ。
ポルシェとアウディはPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)と呼ばれるBEV専用プラットフォームを共同開発しており、2024年にはポルシェマカン、アウディQ6 eトロンを発売すると表明している。また、ゆくゆくはカイエンも同プラットフォームを採用する予定で両ブランドのSUVはBEVにスイッチしていく見込みだ。
とはいえポルシェカイエンは2023年にビッグマイナーチェンジを受けたばかりで、少なくともユーロ7施行まではエンジン車が存在するだろう。デザインや装備だけではなく、乗り心地が洗練され快適になったのが印象的だ。
アウディのSUVはコンパクトなQ2からフラッグシップのQ8まで用意。Q4と間もなく登場するQ6はBEVのeトロンのみ、Q8はBEVとエンジン車が共存し、その他はエンジン車のみとなる。
エンジン車では高性能モデルが車名前に“S”が付いてSQ8などとなり、Q3とQ8ではさらに高性能なRSもラインナップ。
Q2とQ7以外にはクーペSUVのスポーツバックも用意する。2033年にはアウディ全車がBEV化される予定で、エンジン車が買えるのはあと10年となる。(文:石井昌道)