2023年は、アバルトがついにBEVモデルを発表し、中国市場からもコンパクトBEVが送り出されるなど続々とBEVニューカマーが登場したA/B/Cセグメント。一方で既存のガソリンモデルたちも勢いを増し、両者選び難きファンなクルマがたくさん登場して我々を魅了した。(Motor Magazine2024年2月号より)

エンジンに対する未練たっぷりな、アバルト

ボディサイズをむやみに拡大するわけにはいかない制約とともに、コスト面での競争力もより大きなカテゴリーのモデル以上に求められるのがA、B、Cセグメントに属するモデルたち。価格上昇に直結する電動化に関しても及び腰となることは避けられそうにない。

画像: アバルト 500eは、114kW/235Nmのパワフルなモーターと42kWhのバッテリーによってレスポンスの良いアバルトらしい痛快な走りが楽しめるのが魅力だ。

アバルト 500eは、114kW/235Nmのパワフルなモーターと42kWhのバッテリーによってレスポンスの良いアバルトらしい痛快な走りが楽しめるのが魅力だ。

実際、2023年に日本に上陸したモデルを見てもBEVまで踏み込んだモデルはわずか。その中で一人気を吐く(?)のが、月に発売されたばかりの「アバルト500e」である。

ベースのフィアット500がBEV化されたゆえ必然的にそうせざるを得なかったという見方もできるものの、その潔さも相当なものなのが「アバルト初の電気自動車」と紹介されるこのモデル。

内外装デザインを誰もがこのブランドの作品に期待するであろう水準へと仕上げたうえで、前輪を駆動するモーターの最高出力をベース比で3割ほど向上。サスペンションにも専用チューニングを施したうえ、より大径のタイヤを装着するなど走りの面でもブランドに求められる期待に応えようと精一杯に頑張っている。

一方でブランド特有の排気音を長い時間をかけて「開発」のうえ、車外に向けたスピーカーから大音量で放出するなど、失ったエンジンに対する未練もタップリ。価格上昇や重量増を嫌い駆動用バッテリーをベース車から「流用」したため、航続距離はさらに短縮。高速道路を走ればおよそ2時間で電欠、という計算が何とも悩ましい。

もっとも、2023年中のアバルトは最高180psを生み出す1.4L直4ターボエンジンを搭載し、コニ製サスペンションやブレンボ製ブレーキを備える往年のファンにはより歓迎されそうな「695/695Cツーリズモ」や「695コンペティツィオーネ」もローンチするなど、まだ多彩な選択肢を用意。

ただし、前述のようにすでにベースのフィアット500がBEVへ移行しつつあるので、こうして純エンジン搭載のニューモデルが手に入るのは今が最後のチャンスかもしれない。

画像: 1.4L直4ターボエンジンを搭載し、最高出力180psを発生する正真正銘のホットハッチである。また同年6月には往年のラリーカーを想起させる特別モデル「トリビュート 131 ラリー(写真)」など、アバルト695の魅力をさらに高めるモデルも続々と登場した。

1.4L直4ターボエンジンを搭載し、最高出力180psを発生する正真正銘のホットハッチである。また同年6月には往年のラリーカーを想起させる特別モデル「トリビュート 131 ラリー(写真)」など、アバルト695の魅力をさらに高めるモデルも続々と登場した。

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