マルチパスウェイがもたらしたもうひとつの「挑戦」
MM編集部で先日、ちょっとした「議論(四方山話とも言う)」が交わされました。
「イチバン、カッコいい」と思うのは、どの新型クラウン?
それなりにありがちですが、そういう話題で盛り上がることができるのも、4つの際立つ個性を取りそろえた新型クラウンならではの面白さ。トヨタが提唱する「マルチパスウェイ」というクルマの未来は、パワートレーンに限らないさまざまな「カタチ」での可能性を秘めています。
それはさておきの四方山話の結果はと言えば、実はみごとに割れました。列席した4人が全員、違う車型を選択。クロスオーバー、セダン、スポーツ、そしてエステート・・・「カッコよさ」の捉えどころはそれぞれあれど好みの問題もありますが、結局はそれぞれのライフスタイルに関係するのも当然と言えば当然かな・・・。
そうは言っても、改めて新型クラウン スポーツの実車を前にしていると、ピュアな「クルマとしてのカッコよさ」では軍配が上がるような気がしてきます。立体感あふれるフロントマスクしかり、ボディサイドの複雑な曲面のコーディネイトが生み出す肉感しかり、大胆に絞り込まれたリアまわりの流麗さもまたしかり。
こんなに「カッコいいクラウン」が必要なの?
とくに今回、試乗したPHEV搭載グレード「クラウン SPORT RS(以下 スポーツRS)」には、HEVの「Z」以上にさりげなく精悍な印象を感じました。エッジを効かせているのはやはり、専用のマットブラック塗装を施したホイールのスポークの間から覗く真紅のキャリパーでしょう。
ブラックのドアウィンドウモールディング(Zにもオプション設定あり)も含めて、クラウンブランドとしては一歩踏み込んだ感のある自己主張はシンプルに魅力的です。スポーツRSの価格は765万円。590万円のスポーツ Zと比べると、そうとうなグレードアップを期待してもよさそうです。
一方で個人的には、その類まれなカッコよさが実は疑問のタネでもありました。クラウンというブランドとして、ここまで躍動感あふれるスタイルが果たして必要とされているんだろうか・・・という素朴な?です。
それは「世界観」に対する「?」と言いかえても、いいかもしれません。ほかの新型クラウンの3つの車型が描く世界観は、なんとなくわかりやすいんです。クロスオーバーはアクティブだし、セダンはフォーマル、エステートはマルチパーパスといったところでしょうか。
さて、それではクラウン スポーツはいかに。素朴な?に応えてくれるヒントは、やっぱりデザインにありました。それも、スポーツRSで採用された新しいインテリアのコーディネイトに。