メルセデス・ベンツ、BMWそしてポルシェ・・・新たな形へと生まれ変わりながらも、それぞれのブランドが育んできた伝統はそこに、確かに受け継がれていた。いや、SUVという形だからこそ、ニュースタンダードたる新たな資質を高めることができたのかもしれない。(Motor Magazine 2024年2月号よりダイジェスト)
それぞれにブランドの誇りを背負った特別な存在
今回試乗したのは、いずれもドイツを代表するブランドである。メルセデス・ベンツ、BMW、そしてポルシェが市場へ投入するSUV。
各々「GLE 300d 4MATIC(以下、GLE300d)」「X7 xDrive 40d エクセレンス(以下、X7 40d)」「カイエン Sクーペ」というモデルで、いずれもカスタマーには気になる存在だろう。
この3モデルの中で、SUVとしてもっともオーソドックスな印象を抱かせてくれるのは、やはりメルセデス・ベンツのGLE 300dだろう。
そもそもGLEの歴史を遡っていけば、初代モデルこそ2015年に当時のMクラスから改称されてのデビューとなるが、それ以前はMクラスとして1997年まで時間を巻き戻すことができる。その伝統と進化の結晶こそが、GLEにとっては最大の魅力と言える。
X7 40dは、BMWの最上級SUVとなる(BMWはSAV=スポーツ・アクティビティ・ビークルと呼ぶ)。2022年にマイナーチェンジが実施され、そのエクステリアやインテリアの仕様は、より魅力的なものに改められた。
そもそも端正なデザインだったX7のボディは、より最上級SUVとしての上質感が高まったような印象をストレートに受ける。
カイエンSクーペのスタイルは、ひと目でそれがポルシェの作とわかるものだった。
それはすなわち伝統の911を意識したデザインアイコンを採り入れているからにほかならず、たとえばリアのサイドウインドウの造形などは、その典型的な例と言える。