日本でも人気を博しそうな最新SUVを、いち早く海外にて試乗する特別企画。パート1となる日本代表「レクサスGX550」は、国内でも抽選申込が始まっている「オーバートレイル(+)」を中心に、渡辺敏史氏が試す。果たしてどんな「楽しさ」が味わえるのだろうか。(MotorMagazine 2024年5月号より)

LXとの違いは、悪路走行への最適化

果たしてGXとLXの差は大・小でないとすれば何だろうか。

画像: 北米市場では他に「プレミアム」と「ラグジュアリー」というグレードが設定されている。

北米市場では他に「プレミアム」と「ラグジュアリー」というグレードが設定されている。

ポイントとなるのは悪環境でのタフネスぶりだろう。象徴的なところでいえばサスペンションの仕様で新型GXは前ダブルウイッシュボーン、後4リンクリジッド+ラテラルロッドというコンベンショナルな形式となる。

ここまではLXも同じだが、異なるのはその先で、LXはエアスプリングと油圧による車高調整機能を一体化させたアクティブハイトコントロールで懸架するのに対して、GXはオーソドックスなコイルスプリング懸架で、耐久性や信頼性を重視した選択ということになる。

最低地上高は後述するグレードにもよるが、220~225mm。LXは210mmだが、乗降モードやオフロードモードなど、設定に応じて上下最大110mmの油圧による車高調整が可能だ。

GXは前後オーバーハングの短さや造形面でも悪路走行に最適化することで、LXに比肩するほどのオフロード能力を備えている。

新型GXのパワートレーンはLXと同じ、V35A-FTS型。3.5LV6ツインターボだ。ただし最高出力は354psと約60ps低い。理由はタービンの小径化やマネジメントの変更による低中回転域のレスポンス向上で、数字には現れないが、オフロードでの扱いやすさを狙ったセットアップになっている。

仕向地によっては2.4L 直4ターボをベースとするHEVも設定されているが、日本仕様はV6のみの設定となる。

画像: ガソリン仕様の3.5L V6ツインターボエンジンは、オフロード走行に大事なレスポンス重視の設定。

ガソリン仕様の3.5L V6ツインターボエンジンは、オフロード走行に大事なレスポンス重視の設定。

環境への配慮を忘れないからこそ生まれる豊かな時間

米国仕様となる試乗車のグレード構成は新設定となるオーバートレイルを中心に、20インチを履くプレミアムや22インチを履くラグジュアリーにも触れることができた。後者の日本仕様はバージョンLなどの親しんだグレード名が用いられることも十分考えられる。

画像: 見るからに頑丈そうなサイドウォールを備えたオーバートレイル専用となる18インチタイヤ&ホイール。

見るからに頑丈そうなサイドウォールを備えたオーバートレイル専用となる18インチタイヤ&ホイール。

オーバートレイルは、アウトドアライフや環境保護活動を通じて豊かな時間を楽しむというレクサスが推す新たなエクスペリエンスだ。新型GXに設定された新たなグレードはその象徴的な存在として企画された。

専用開発された18インチのオールテレインタイヤはマッドテレインに近い大きなブロックが特徴的だ。走破性の面ではバンパーデザイン変更や電子制御スタビライザーのE-KDSSを採用する点などが他のグレードと異なる。

内装の質感はレクサスとしてみれば車格相応といったところだがアナログな道具感を重視したデザインもあり、操作系に奇をてらったところのないのが逆に個性的でもある。見た目のとおり四方の見切り感は抜群な上、低く構えた窓枠のおかげで、顔を出しての側方路面状況の確認も難なく行える。

ボディオンフレームのリアリジッドといえば、乗り心地的には微小な振動に加えて時折りリアのホーシングによる横揺れがつきまとうようなイメージがあるが、新型GXはこういった癖をかなりのレベルで封じ込めている。モノコック同然とまでは言わないが、日常的な場面で乗り心地に不満を抱くことはまずないはずだ。

この点、20インチの「プレミアム」は可変ダンパーを持たないベースグレード相当だが、上位グレードに遜色なく快適なうえ、むしろその素直な操縦性に感心させられた。

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