2010年秋、アルナージの実質的な後継モデルとなるベントレーの旗艦「ミュルザンヌ」が新たに登場した。「ミュルザンヌ」という名はベントレーの情熱を象徴するとして、ル・マン24時間が行われるサルテサーキットのコーナーにちなんでつけられた。はたして「ミュルザンヌ」とはどんなモデルだったのか。Motor Magazine誌は上陸間もなく試乗テストを行っているので、今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年12月号より)

底知れぬトルクに驚愕、走り全般に深みがある

走り出すと、まず「いいなあ」と思うのが、手応えがしっかりとしたハンドルの重みだ。いかにも重量級のFRモデルという印象で、このステアフィールを味わっているだけで楽しい気分になる。エンジンはこれまた伝統に則って、排気量が6.75LのV8 OHVツインターボだ。1750rpmという低回転から最大トルクの1020Nmを発揮する。

すると低速域でアクセルワークに気をつかうのではと思われるかも知れないが、まったくそんなことはない。感覚的にはアクセルペダルが2段階になっていて、通常は1段目でゆったりと走り、いざというときにはちょっと踏み込んで2段目に入れる、そういうイメージだ。少しだけ「2段目」を試してみたが、1020Nmの威力は半端ではない。あっという間にアクセルペダルを戻すことになった。

動力性能に関することでは、このV8エンジンはクルージング時に4気筒を休止させるシステムを持つこともトピックだ。これにより燃費向上を果たしている。トランスミッションは高級車の定番であるZF社製8速ATで、これには文句のつけようがない。

さて、走りの印象全般だが、ミュルザンヌには「深み」がある。クラスは違うが同時期に試乗させてもらったゴーストの走りは「明快」である。それぞれの持ち味だ。イギリスの名門ブランドの素晴らしさを存分に味わえた、いい1カ月だった。。(文:Motor Magazine編集部 荒川雅之/写真:玉井 充)

画像: リアスタイルの特徴のひとつは楕円形状のテールパイプだ。そしてこれに呼応するように、リアコンビネーションランプ内には、LEDによる3つの楕円形が浮かび上がっている。

リアスタイルの特徴のひとつは楕円形状のテールパイプだ。そしてこれに呼応するように、リアコンビネーションランプ内には、LEDによる3つの楕円形が浮かび上がっている。

ベントレー ミュルザンヌ 主要諸元

●全長×全幅×全高:5575×1926×1521mm 
●ホイールベース:3266mm 
●車両重量:2435kg 
●エンジン:V8OHVツインターボ
●排気量:6750cc
●最高出力:377kW(512ps)/4200rpm
●最大トルク:1020Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●0→100km/h加速:5.3秒
●最高速:296km/h
●車両価格:3380万円(2010年当時)

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