新生クラウンシリーズで、とくにスポーツ性能を高めたモデルが“スポーツ”である。今回はその中でもっとも走行性能を高めたPHEVの“RS”の実力を一般道、高速道路、ワインディングで検証してみた。(MotorMagazine 2024年6月号より)

新しい時代のクラウンだと強く感じさせる快適性と走り

そんなRSの走り出しの印象は、2トン超という車両重量が信じられないほどに軽快だ。モーター出力にゆとりがあるのでアクセルペダルを深く踏み込んでもエンジンは簡単には始動せず、その振る舞いはピュアなEVのそれに準じてどこまでも静かでスムーズ。

画像: システム出力は306psというハイパワーなスポーティモデルだが、タイヤサイズは前後ともに235/45R21。また、燃料はレギュラーガソリンでWLTCモード燃費は20.3km/Lと経済性にも優れている。

システム出力は306psというハイパワーなスポーティモデルだが、タイヤサイズは前後ともに235/45R21。また、燃料はレギュラーガソリンでWLTCモード燃費は20.3km/Lと経済性にも優れている。

大きなテールゲートを備えたモデルにありがちな低周波のドラミングノイズも皆無で、ファットで巨大なタイヤを履くゆえに覚悟をしていたロードノイズも想像よりずっと軽度だ。

荒れた路面にさしかかるとさすがにバネ下の重さを多少感じるが、ボディサイズや重量スペックから連想されるよりも身のこなしは総じて軽やかで、たとえスポーツモードを選択しても上質な乗り味をキープしながら連続するコーナーを無駄なボディの動きを伴わずに難なくクリアしていく「クラウンらしいたおやかさとクラウンらしからぬ高いスポーティネスの同居」を感じさせてくれる走りのテイストに「新時代のクラウン」を実感させられる。

画像: インパネの造形はかなり斬新。運転席と助手席は明確にセパレートされている。

インパネの造形はかなり斬新。運転席と助手席は明確にセパレートされている。

それでも「一体これのどこがクラウンなんだ?」という意見を抱く人は現れることだろう。しかし、新しいマーケットで新しい顧客層を開拓しようとなれば、この程度の〝ショック療法〟は必要だったという意見にも納得がいく。

306psというシステム総出力が生み出す絶対的な加速力は「怒涛の加速」といった過激さには至らないものの、スポーツカーの水準と評価できる程度の俊敏さは備えている。ただし、エンジンが加勢を始めたシーンで耳に届くサウンドの質だけは物足りない。

端的に言えば、4気筒らしいちょっと雑味のあるエンジン音は、クラウンスポーツというモデルの車格に追い付いていない、という印象だった。

また、歴代のモデルが日本の道路インフラとともに歩み、ある意味それを築いてきたという実績までを踏まえると、それをかなぐり捨てて一気に巨大化したボディのサイズ(とくに全幅)についても、前述のようにいくら見た目のダイナミズムに貢献していようとも、もろ手を挙げて賛成することはできない思いも生まれてくる。

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