実用性を考えたらSUVが魅力的に見えるし、走りを楽しむならセダンを選びたい。けれど、どちらも望むなら・・・改めて注目されるべき存在が、「ワゴン」だろう。後編は、ワゴンならではのドライバビリティについて検証してみよう(MotorMagazine 2024年6月号より再構成)

滑らかな転がり感がもたらす「癒し」●540i xDrive ツーリングMスポーツ

続いて540i xDrive ツーリングMスポーツに乗り換える。室内空間はこちらも全席余裕たっぷり。独立した後席用エアコンも備わる。運転席まわりの意匠は最新のものではないが、まだまだ古めかしい感じではない。各部のクオリティも上々だ。

画像: オプションのBowers&Wilkins製のサウンドシステムを装着するとスピーカー照明とともに最上級の音質が約束される。

オプションのBowers&Wilkins製のサウンドシステムを装着するとスピーカー照明とともに最上級の音質が約束される。

ただし、センターコンソールにある携帯電話用の充電トレイが小さくiPhone Pro Maxが収まらなかった。7年という月日を感じた瞬間だった。

やはり、リアにエアスプリングを用いたシャシが織りなす走りのタッチは剛性感よりはしなやかさが際立つ。包み込むような乗り心地、滑らかな転がり感がもたらすのは、極上の癒やしだ。

3L直6ターボエンジンのまさしくシルキースムーズな回り方も、滑らかでとろけるよう。低速域の力強いトルクと心地良いハミング、回していくにつれて粒が揃ってくるサウンドと回転感覚には、まさしく内燃エンジンを歌わせる歓びがあふれている。

画像: 伝統の3L直6ターボエンジンを搭載。最高出力340ps、最大トルク450Nmを発生。

伝統の3L直6ターボエンジンを搭載。最高出力340ps、最大トルク450Nmを発生。

フットワークも素晴らしい。当たりは柔らかいけれど反応は正確で、FRベースらしいリニアリティに富む。操舵した方向にロールを感じさせることなくスッと向きが変わる感覚は、これぞBMW。

SAVモデルにだって何の不満もないけれど、あえてツーリングを選ぶ意味は、この点だけを取っても確かにあると感じさせた。

しかも、そんな走りの一方でハンズオフ機能付きの運転支援装備まで備わるのだ。それも含めて正直、モデルライフ末期の5シリーズの走りに、こんなに心動かされるとは思わなかったというのが正直な印象である。

Eクラス ステーションワゴンには遅れてE220dオールテレインと、E300ステーションワゴン エクスクルーシブが追加されている。とくに注目は後者。

ノーズマスコットを戴く外装、出力を高めた2L直4ターボエンジン、そして待望のAIRMATICサスペンションの搭載で、ワゴンとしての魅力がさらに高まっている。予算のことはさておき、個人的には選ぶなら断然コレである。

そして5シリーズ ツーリングについては、冒頭に記したようにすでに新型が登場している。拡大されたサイズ、BEVが中心のラインナップなど気がかりも少なくないが、結論は実際に触れてみてから出すべきだろう。(文:島下泰久/写真:永元秀和)

画像: 540iは四輪駆動システム「xDrive」を搭載する。冬場や未舗装路の走行も安心だ。

540iは四輪駆動システム「xDrive」を搭載する。冬場や未舗装路の走行も安心だ。

【BMW 540i xドライブ ツーリング Mスポーツ 主要諸元】

●エンジン:直6DOHCターボ+モーター
●総排気量:2997cc
●最高出力:250kW(340ps)/5500rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1500-5200rpm
●WLTCモード燃費:10.5km/L
●CO2排出量:221g/km
●全長:4975mm
●全幅:1870mm
●全高:1500mm
●ホイールベース:2975mm
●車両重量:1940kg
●駆動方式:FR
●トランスミッション:8速AT
●ブレーキ フロント:Vディスク・リア:Vディスク
●タイヤサイズ フロント:245/40R19・リア:275/35R19
●価格:1216万円

This article is a sponsored article by
''.