リアスタイルの変更は最小限。刷新した大型フロントグリル
10台以上が並べられた新型の第一印象はよりシンプルに、そしてプレミアムな印象を強めたということ。ヘッドライトは最新のBEV EX30やEX90などと同様に、トールハンマーをより強調するT字形状へと変更され、またバンパーはキャラクターラインを排除した、面と曲線で構成される。
最大の特長は大型化とともにフィンデザインを刷新したフロントグリルだろう。2方向から伸びる斜線を重ねるように配置するレイヤーは「着物の右前の衿合わせ」を想起させ、落ち着きと気品を感じさせるとも思ったのだが、実際には着物からインスピレーションを受けたデザインではなかったようだ。頑丈で信頼性が高いことを意味するボルボのエンブレム「アイアンマーク」の矢印からインスパイアを受けて再構成したものだという。いずれにしてもプレミアムな所有感を刺激してくれるであろうことは間違いない。
ほかにもテールランプ内部の光源形状、そしてリアバンパーでテールパイプを隠すなどさりげない刷新はあるものの、エクステリアデザインでの大きな変更点はフロントマスクに集中している。それでもリアやサイドのスタイルから古さを感じなかったのは、全長5m近い大柄なSUVでありながらロングノーズとショートオーバーハングによるスポーティなシルエットを有しているからではないだろうか。ワールドプレミアから10年が経過した今もなお、そのスタイルは安定感ある運転の楽しさとラグジュアリー性を醸し出しているようだ。
試乗会で用意された2台のうち、まずはMHEV「B5」のフロントシート乗り込む。濃紺のボディカラーに合わせたかのようなテキスタイルシートは、100%リサイクル素材の生地とは思えないサラサラとした柔らかな手触り、そして大きなサイドサポートを配置しているわけでもないのに包まれ感を味わわせてくれる。実はこの感覚、40:20:40分割可倒式のリアシートに座っても同様で、フロントシートと同様の快適性を実現するプレミアムブランドらしいしつらえだ。
インテリアデザインで大きく変わったパーツといえば、縦型のセンターディスプレイを中心にしたフロントダッシュボードだ。従来9インチだった画面サイズは11.2インチに拡大されるとともに、解像度を高めることでより鮮明な画面表示が実現されている。これは360度カメラの映像を表示したとき、または地図表示で小さな地名表示を見ようとしたときなど効果を体感するシーンは数多い。ダッシュボードのインテリアトリムや4つのエアコン吹き出し口の形状も新デザインに刷新するなど、新世代のボルボ車たちと同様のテイストに合わせた形だ。