WRCやニュルブルクリンク24時間レースなどモータースポーツ参戦で培ってきた技術や知見を投入してコンプリートカー「Sシリーズ」はどのように進化してきたのか。今回の特集では2004年に登場した「S203」から、インプレッサ/WRXをベースとした「Sシリーズ」を中心に振り返ってみよう。第3回は2010年に発表された「R205」を紹介する。

R205:2010年発表(400台限定 車両価格473万5500円)

2010年、S204以来5年ぶりに登場したのがインプレッサベースのコンプリートカー「R205」。ベース車のインプレッサWRX STIが3代目へのフルモデルチェンジでハッチバックモデルとなったためか、車名には「S」ではなく「R」が付けられた。

画像: セダンでなくハッチバックモデルで登場した「R205」。内容的にも5年ぶりの進化は大きかった。

セダンでなくハッチバックモデルで登場した「R205」。内容的にも5年ぶりの進化は大きかった。

この「R」には「ロードスポーツ」の意が込められ、全方位にレベルを高めたそれまでSシリーズとは違い、とくに公道での走りの良さに重点が置かれていた。しかしナンバリングはS204の流れを継ぐものであり、Sシリーズの中の1台に数えられている。

STIでは、その前年2009年からワークス活動をWRCからニュルブルクリンク24時間レースにシフトしており、「R205」にはニュル24時間でのノウハウがフィードバックされていた。

ベースモデルは競技ユースのWRX STI スペックCで、しなやかで強靭な走りを実現するために、ボディとサスペンションを徹底的に補強し、足回りには定番メニューのほか、新たにフレキシブルドロースティフナーを採用。ステアリングの応答性や路面追従性を追求していた。外装にはレースで使われて性能検証された空力パーツを装備し、開発にあたってはニュルを徹底的に走り込んで設計が進められた。

最高出力320psのエンジンは、専用のECUや吸排気系の変更、ボールベアリングツインスクロールターボなどの採用で、スペックよりも基本性能の良さを引き出すチューニングとしている。

「最良のロードゴーイングカー」をコンセプトに、R205は新たな境地に進出したことをうかがわせた。

画像: ニュルブルクリンク24時間レースでのノウハウが盛り込まれて登場した「R205」。日常ユースでの乗りやすさも考えられたインテリア。

ニュルブルクリンク24時間レースでのノウハウが盛り込まれて登場した「R205」。日常ユースでの乗りやすさも考えられたインテリア。

STI R205 主要諸元

●全長×全幅×全高:4415×1795×1465mm
●ホイールベース:2625mm
●重量:1470kg
●エンジン型式・種類:EJ20・対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:320ps/6400rpm
●最大トルク:44.0kgm/4400rpm
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●トランスミッション:6速MT
●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウイッシュボーン
●ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
●タイヤサイズ:245/40R18
●車両価格:473万5500円(2010年当時)

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