新BEVブランドと「ID.2all」のツープラトンでeモビリティ戦略を推進
フォルクスワーゲンは、深刻な経営不振を打開すべく、トーマス・シェーファーCEOより労使協調による、eモビリティに軸足を置いた新たな再生プログラムの発表が行われた。そして、その中心となるのが、フォルクスワーゲンの本拠地であるウォルフスブルクの工場となる。

2025年3月に一般公開が予定されているエントリーユーザー向けBEV新ブランド。
工場閉鎖の危機が叫ばれていたウォルフスブルクの工場だが、これで生き残ることが確実となった。ちなみに、ここではゴルフと T-Roc が年間 50万台超生産されている。今後の生産に関しては、経営と労働評議会との四半期ごとの協議会で都度話し合われるという。
さて、ポイントとなる再生プログラムの中身だが、それは2030年をターゲットに、「キャッチアップ」「アタック」「リード」の3段階で構築されている。
「キャッチアップ」とは、BEV(電気自動車)マーケットシェアの減少を食い止めることが主眼となる。そのために、エントリーユーザー向けの新たなBEVブランドを立ち上げる。使われるプラットフォームはSSP(スケーラブル システム プラットフォーム)と呼ばれる完全デジタルの次世代メカトロニクス プラットフォームだ。
しかも、3月には展示車両として一般公開される予定で、価格も2万ユーロ(約316万円)とアナウンスされている。これにより、コンパクトBEVとして公開され、2026年デビュー予定の「ID.2all」とともに、フォルクスワーゲンのeモビリティの未来をタッグを組んで担うこととなる。「ID.2all」の価格は2万5000ユーロ(約395万円)以下になるという。

コンパクトBEV「ID.2all」。2026年にマーケットデビューが予定されている。
「アタック」は文字通り攻撃開始だ。2027年までに、前述のエントリーユーザー向け新型BEVと「ID.2all」を含む9ブランドのBEVをマーケットに投入するという目論見だ。この段階で形勢を逆転しようということだろう。
そしてその優位をさらに広げるのが「リード」。BEVの販売シェアのトップを狙うという段階だ。この点の詳述はないが、2024年に 38万3100 台のBEV販売実績をベースに2030年までにどこまでシェアを伸ばせるのか、ひとえに「キャッチアップ」「アタック」の成果にかかっているということだろう。