DBX707というスーパーSUVが加わったことで、セールス的にも順調なアストンマーティン。そのメインストリームを担う2ドアスポーツモデルのトップに君臨するのが、最新V12エンジンを搭載するヴァンキッシュである。その凄さを知った。(文:大谷達也 写真:アストンマーティン ジャパン)

快適でいて機敏な操作性。すべてがウルトラゴージャス

しかし、新型ヴァンキッシュの最大の特徴は、新開発のV12ツインターボエンジンを搭載したことにある。5年前に開発が始まった新ユニットはアストンマーティンのパワートレーン部門で設計。生産は外部に委託するもののイギリス製であることには間違いないとのこと。しかも最高出力は835ps、最大トルクは1000Nmとずば抜けたパフォーマンスを発揮。0→100km/h加速は3.3秒、最高速度は345km/hで、アストンマーティンのカタログモデルとして史上最速だという。

画像: 前後重量配分に優れるトランスアクスル方式を採用。流麗でありながら野性的な獰猛さも伝えるアグレッシブな造形が魅力。

前後重量配分に優れるトランスアクスル方式を採用。流麗でありながら野性的な獰猛さも伝えるアグレッシブな造形が魅力。

だがイタリアのサルディーニャ島で行われた国際試乗会で実際にドライブしてみると、そんな迫力満点のスペックがにわかには信じられないほど極めてジェントルかつ洗練された走りに驚かされた。

DB11よりもワンランクかツーランク硬めの足でスポーティさを強調していた旧DBSとは異なり、ヴァンキッシュは快適性が大幅に進化したDB12と同等のしなやかさで、路面からのショックを吸収してくれる。それでいて見事にフラットな姿勢を保ってくれるので、スポーツもしくはスポーツ+モードではワインディングロードにおける正確かつ機敏なハンドリングを堪能することができた。

肝心のエンジンも実に従順であり、ジャジャ馬なところは皆無。高速道路でフルスロットルを試せば豪快な加速を披露してくれるものの、その車速の伸び方はいかにもターボらしい退屈なものではなく、トップエンドに向けて豪快かつリニアにパワーが立ち上がっていくタイプ。そのため、ドラマチックであると同時に扱いやすさも兼ね備えている。

画像: イギリスで生産される5.2L V12DOHCツインターボエンジン。アストンマーティンの市販車として歴代最速を実現。

イギリスで生産される5.2L V12DOHCツインターボエンジン。アストンマーティンの市販車として歴代最速を実現。

そして、アクセルペダルを強く踏み込んだ状態で4500rpmを越えると、マルチシリンダーらしい「ファァァアアッ!」というエキゾーストサウンドを奏でて、ドライバーを魅了してくれる。

もっとも、どんなときでも品のいいマナーを崩さない点ではアストンマーティンというサラブレッドの血筋を受け継いでいることは明らか。豪放だったDBSとはひと味もふた味も異なるグランドツアラーであることは間違いない。

画像: デジタルメーターとセンターディスプレイ、入念な仕上げのインテリア。伝統と最新技術の調和である。

デジタルメーターとセンターディスプレイ、入念な仕上げのインテリア。伝統と最新技術の調和である。

【アストンマーティン ヴァンキッシュ 主要諸元】

●Engine 種類:V12DOHCツインターボ 総排気量:5204cc ボア×ストローク:89.0×79.5mm 圧縮比:9.3  最高出力:614kW(835ps)/6500rpm 最大トルク:1000Nm/2500-5000rpm 燃料・タンク容量:プレミアム・82L WLTPモード燃費:7.4km/L CO2排出量:312g/km ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4850×2044×1290mm ホイールベース:2885mm 最低地上高:90mm(エアダム含む) ラゲッジルーム容量:248L 乾燥重量:1774kg ●Chassis 駆動方式:FR トランスミッション:8速AT ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前:ダブルウイッシュボーン・後:マルチリンク ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク タイヤサイズ 前:275/35R21・後:325/30R21 ●Performance 0→100km/h加速:3.3sec 最高速:345 km/h

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