出力、航続距離ともに優れた電動パワーユニットを採用

ボンネット内には駆動システムをつかさどる機器がぎっしりと詰まっている。
キャデラック リリックは最新のBEVプラットフォームとパワートレーンが採用されています。前後に1基ずつ駆動用モーターを搭載したデュアルモーター式eAWDシステムを採用し、走行状態に応じて前後独立して出力特性を制御することができます。またドライブモードは「ツアー」「スポーツ」「スノー/アイス」「マイモード」の4つが用意されています。

左フェンダーの電動開閉式のリッドの中には CHAdeMO(急速充電・左)と普通充電口(右)がある。
BEVで気になる点がバッテリー容量と航続距離です。リリックでは95.7kWhという大容量のバッテリーをシャシ床面に敷き詰めるかたちで搭載し、最大で510kmの航続距離を実現。もちろんCHAdeMO急速充電器に対応していて充電時間30分の場合、50kWでは120km、90kWなら150km分のチャージが可能です。先述のバッテリーの搭載方法による低重心化と、モーターを前後車軸のほぼ真上に配置するなどの工夫により前後重量配分50:50を実現しています。
ちなみにリリックの駆動システムは最高出力522ps、最大トルク610Nmを発生します。このハイパワー&高トルクと低重心化と前後重量配分にこだわったプラットフォームのおかげで、0→100km/h加速タイムは5.5秒という俊足ぶりです。なお、アメリカ本国ではハイパフォーマンスモデルのリリック-Vも用意されており、こちらは2026年に日本に導入する予定です。

2026年の日本導入を目指している「リリック-V」。リリックのハイパフォーマンスモデルだ。
今後のBEV展開についても言及が!

3列シートを備えた大型フル電動SUV「ヴィスティック」。
リリックの発表会では、キャデラックの今後のBEV展開についてもアナウンスがありました。3列シートを備え、エスカレードよりもひとまわり小さいSUV「ヴィスティック」、リリックよりも小型の「オプティック」、先述の「リリック-V」を2026年に日本に導入するというのです。

キャデラックブランドではエントリーSUVとなる「オプティック」。
GMジャパンの若松 格(ただし)社長 は、このようにBEVラインナップを強化することで、「日本におけるラグジュアリーEVのトップブランドのひとつとなることを目指したい。また、ユーザーのニーズに応えるために内燃機関モデルも引き続き販売する」と言います。
リリックの登場を契機に、新たな局面に突入したと言えるキャデラック。その動向からはしばらく目が離せそうにありません。
(写真:井上雅行/永元秀和/ゼネラルモーターズ)
キャデラック リリック 主要諸元
●全長×全幅×全高:4995×1985×1640mm
●ホイールベース:3085mm
●車両重量:2650kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:384kW(510ps)
●最大トルク:610Nm
●バッテリー容量:97.5kWh
●WLTPモード航続距離:510km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:275/45R21
●車両価格(税込):1100万円